レンズ越しの君

カメラ越しにだけ見える女子がいる。


夜の水族館。


青く照らされた水槽に薄透明の海月が揺れる。


手前に立つ君。


銀光に輝く長い髪。


透き通るような白ワンピース。


背中には一対の羽。


「こんばんは」


顔を上げれば静寂ばかり。


レンズを覗けば手を振る姿。


後もう一度、そう思い続け夜な夜な水族館に忍び込む。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る