第7話 親子丼が食べたい
そうしてご飯を食べれたのはそれから5時間後のことだった。
それも過酷なご飯だ……
「ほらシエラ!ドラゴンの卵を採ってきたぞ!」
「わぁ!先生!怒ったドラゴンも付いてきてますよ!
今日は親子丼ですね!」
僕の世界にはドラゴンと卵で親子丼という概念はない……
イグアナと卵で親子丼って言っているみたいじゃないか……
「ドラゴンはドラゴンでもファイアードラゴンだぞ!
シエラ、アイツの塩焼きは美味いぞ!」
「ファイアードラゴン。
って、炎属性のドラゴンじゃないんですか?
炎で体力を回復したり耐性を持っていたりしないんですか?」
僕はそんなことを言ってみた。
まぁ、ゲームの世界じゃないしそうとも限らないんだけど……
「異世界人は知識が深いな。
そうだぞ、ファイアードラゴンは火を吹くし。
火を食べるし大好物だ」
清空さんは上機嫌で行った。
「じゃ、どうやって焼くんですか?」
「シエラ、見せてやれ」
「はい!先生!」
せんせいあのね。
今、4歳の女の子がファイヤードラゴンに戦いを挑んでいます。
僕はお腹が空きました。
きっとファイアードラゴンもお腹を空かせているのでしょう。
でも、4歳の女の子ひとり食べたところでお腹は膨れないでしょう。
シエラさんはナイフをひとつ片手にファイアードラゴンに挑みます。
ナイフで戦うの?そんな小さなナイフで?
そう思ったらシエラさんはナイフを投げます。
勢いよく飛んだナイフはファイアードラゴンの足元にポテンと落ちます。
シエラさんは何度も何度もナイフを投げます。
んっとこしょ。
どっこいしょ。
ナイフは届きません。
んっとこしょ。
どっこいしょ。
でもナイフは届きません。
んっとこしょ。
どっこいしょ。
やっぱりナイフは届きません。
「さて、先生。
下ごしらえはできました」
シエラさんはそう言ってニッコリと笑います。
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