第2話 生きるとは

セミが鳴いている。

暑い。

僕は横になっている。

身体が動かない。

頭はぼーっとしている。


なんだこれ……


頭が痛い。

ドロリとした感覚。

なんか粘っこい……

ゆっくり目を開ける。


あたりは血の海。


「おい、こいつ虫の息だけどどうする?」


荒っぽい男の声が聞こえる。


「ほっとけ。どうせ死ぬ。

 お前ら、早くその辺のヤツの目玉を抉っとけ。

 赤目の目玉は高く売れるぞ?

 売れたら酒と女を買って宴だ」


男たちが物騒なことを言っている。


何だここ。

まさか異世界転生ってやつか?


だったら特殊能力で無敵の力を得て彼女も出来てウハウハ……

ってそんなわけないか。


有名なやつはそうなって。

俺みたいな雑魚は無名のまま死ぬんだ。

なんだよ。

転生して速攻死ぬとか意味わからんぞ。


ってあれ?どうして俺はここが異世界だと思うんだ?

もしかしたら日本かもしれないぞ。

まだ死んでいなくて、強盗が来て笑っているのかもしれないな。


「おい、この生きている女はどうする?

 年頃だが売れないか?」


「殺せ!

 コイツらは感情が高ぶると周りの存在を赤いものに変える。

 感情が高まる前に殺せ!」


「ちょっとくらい触っても……」


若い男が女に触れる。


「いやあああああ!!!」


若い男は燃えた。

それと同時に女の胸に穴が開く。

女はそのまま絶命した。


「あー、死ぬかと思った」


燃えたはずの男が笑う。


ああ、なんなんだ。

魔法の世界か?

だったら僕にも魔法が使えないかな。


周りの男達は笑いながら倒れている人の目玉をほじくっている。


「どれその子供はもう死んだか?」


男が僕に近づいてくる。


「なんだまだ生きてるじゃないか」


男は僕の頭を掴み持ち上げる。


こいつどれだけ巨漢なんだ?

僕の身体を持ち上げるなんて……


鏡に映る姿には子供とそれを持ち上げる大柄な男の姿があった。


「こいつ青目じゃないか!」


男は僕を床に叩きつけた。

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