天より素質を授かりし美しい人

@curisutofa

アインス 伯父上の御前にて

『伯父上。いかに天より根元魔法の素質を授かりし女魔法使マーギエリンい殿とはいえ、可憐な乙女である淑女マドモアゼルを、御領地の領内を荒らす不逞ふていやからの討伐に伴うのは。騎士シュヴァリエとしての矜恃きょうじが許せません』


城館の城主の間にて、帝国の貴族諸侯であらせられる伯父上から、男爵バローンとして御治めになられていられる御領地の領内を荒らす不逞ふていやからである無法者デァ・ゲゼッツ・ローゼを、討伐せよとの御下命を受けましたが。


『我が甥よ。けい遍歴へんれき騎士シュヴァリエとしての放浪の旅を経験したが、人物観察の能力は磨けなかったようであるな』


城主の椅子に腰掛けていられる伯父上は、美しい金髪ブロンデス・ハール瑠璃之青アツーア・ブラオの瞳をされている、十代前半の女魔法使マーギエリンい殿の方に視線を向けられますと。


『我が甥には悪意は無い。魔法使マーギアーいでもある傭兵ゼルドナーよ』


『はい。男爵バローン閣下』


女魔法使マーギエリンい殿では無く、魔法使マーギアーいの傭兵ゼルドナー殿ですか?。


『こちらの傭兵ゼルドナーは、帝国自由都市リューベックにある叡智ヴァイスハイト学園にて根元魔法を学ぶ魔法使マーギアーいだ、我が甥よ。年齢はまだ十三歳だが、高名な傭兵ゼルドナーだった祖父から、殺しの技は幼い頃から叩き込まれている。そうだな傭兵ゼルドナーよ』


伯父上の御言葉に対して、淑女マドモアゼルにしか見えない十三歳の美しい傭兵ゼルドナー殿は、恭しく深々と御辞儀を行われまして。


『はい。男爵バローン閣下。御領地の領内にて治安を乱す犯罪者である無法者デァ・ゲゼッツ・ローゼ殲滅フェアニヒトゥングは、御任せ下さい』


傭兵ゼルドナー殿による奉答ほうとうを聞かれた伯父上は、鷹揚おうように頷かれますと。


『そういう訳だ我が甥よ。傭兵ゼルドナーと協力して、領内を荒らす不逞ふていやからを討伐せよ』


改めて御下命を受けた自分は、深々と御辞儀を行いまして。


『はい。伯父上。傭兵ゼルドナー殿と協力して、必ずや不逞ふていやからを討伐いたします』

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