死神直属機関三獣隊
朝乃倉ジュウ
第1話 開闢
「本日、新人がくると言いましたが、覚えていましたか?」
薄暗い書斎で本を読むなと言っても聞かない上司に、俺はため息をつきながら頷いた。
あまり暗い所にいると黒いスーツのおかげでお互いどこにいるのかわからない時があるから困るのだが、お構いなしだ。
「ええ。その新人の教育を担当するよう、前に言われました」
この上司は唐突に重要な事を呟く。それを一言一句聞き逃さずに覚えておくのは、もはや特技となった。長い付き合いだ。こういったやり取りも慣れたものだ。
「やはり覚えていましたね、
メガネをかけ直しながら手元の明かりをつける上司に、またため息が出てしまった。今度の新人は此処が何をする所なのか知らないド新人。教育係は苦労することが目に見えている。
「匡だから頼めるのですよ? そんなに怒らないでくださいよ」
「怒っていません。それに、教育なら貴方の方が得意のはずです」
「私ではなく、匡の方が適任ですよ。どうしても無理であれば、最終手段として私がやりますが……」
困った顔で笑う上司の言葉を遮るように、ドアが開いた。
「おや、来たようですね。ようこそ、
呑気な上司と、緊張と不安で固まっている新人に、本日三回目のため息をついてしまった。
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