退職代行サービス
私がいつものように会社で働いていると、ディスクの電話が鳴った。私は電話に出る。
「はい、こちらX建設株式会社、第二営業部の鈴木ですが」
『こちら退職代行サービスの者です』
意外なところからの電話がかかってきたので私は驚く。最近は退職の手続きを代わりにやってくれるサービスが流行っているらしいが、まさかうちの会社にも、そんなものに頼って退職をしようとする社員がいるとは思わなかった。
「退職代行って、一体誰がそんな依頼をしてきたんですか?」
『はい、そちらにお勤めの立花慎太郎さんです。この度御社を退職したいとのことで……』
「何!? よりにもよって『立花慎太郎』だって!? ダメです! 退職など許しません! 今会社が大変な時期だって言うのに、彼を退職させるわけにはいきません! 会社が回らなくなってしまう!」
『許す、許さないの話ではありません。立花さんは退職を希望しているのです。それに反対する権利など、無いと思いますが……」
「ええい! うるさい! とにかく許さん! 絶対に退職など許さないからな!」
『そうはいきません。では必要な書類は後で送ります。よろしくお願いしますね』
そう言って、退職代行サービスの職員は電話を切った。私は頭を抱えて嘆く。
「なんてことだ。今我が社は不祥事を起こして大変な時だっていうのに。こんな時期に退職代行サービスを使って退職しようだなんて、一体何を考えているんですか『立花社長』!」
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