黙り比べ

 俺にはライバルがいる。子どもの頃からの腐れ縁で、事あるごとに勝負をしている。


「おい! 勝負しようぜ。今まで色々と争ってきたけど、これで決着をつけよう!」


 ある日ライバルがそんな事を言ってきた。もちろん、俺は彼の話に乗ることにした。


「望むところだ! いい加減白黒付けよう! それで何で勝負する?」


「それじゃあ『黙り比べ』なんてどうだ? 先に喋った奴の負けだ!」


「いいだろう! じゃあもうすぐ12時だからそこからスタートだ」


「よし、後5秒……4……3……2……1……」


 12時になると同時に、俺は口を固く閉じた。しかし、驚くべきことが起きた。ライバルがナイフを取り出し、自らの胸を刺したのだ。俺は慌ててライバルに駆け寄る。


「何やってるんだ! しっかりしろ! おい!」


 しかし、ライバルは勝ち誇った顔をして言った。


「お……おれの……勝ち……だ……」


「ライバル? ライバルー!!」


 俺の絶叫が街中にこだまする。俺は今日生涯のライバルを失った。

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