彼氏とパチンコ
「ねえ、金くれよ! パチンコやりたいんだよ!」
「また?」
同棲している彼氏が、また小遣いをねだってきた。いつものことながらため息が出る。
昔はこんな人ではなかった。数年前、彼は人気インディーズバンドのメンバーだった。彼はドラム担当で、誰よりも熱心に練習していた。しかし、メンバーの1人が女性関係で問題を起こしてからバンドの人気が急落。その後あっけなく解散してしまった。
バンドが解散してから彼は変わってしまった。毎日遊び呆けて、時々私に小遣いをせびって暮らしている。
「ねえ! 金くれってば! パチンコ! パチンコ! パチンコ!」
「もう、仕方ないわね」
駄々をこねる彼に、私は500円玉を手渡した。
「わーい! パチンコ! パチンコ!」
彼ははしゃぎながら部屋を出て行った。
「どうしてこうなっちゃったのかしら」
私はため息をつく。生きがいだったバンドが解散してから、彼はおかしくなってしまった。彼の精神は幼児並みに退行してしまい、いつも駄菓子屋でパチンコなんかを買ったりして、1人で子どものように遊んでいる。昔の彼を知っている私は、変わり果てた彼を見捨てることもできず、今でも彼の面倒を見続けているのだった。
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