予言の書

 未来の出来事が記されているという「予言の書」を求めて、私は古代の遺跡にやってきた。


 遺跡に仕掛けられた数々の罠を掻い潜り、古代文字を解読し、やっと予言の書が安置された部屋へとたどり着いた。


 長い道のりだったが後悔はしていない。なんせ予言書が手に入れば未来のことがわかるのだから、これからいくらでも金儲けができる。


 いや、私利私欲のために使うのは良くないな。災害などの人類の危機を予言すれば大勢の人が助かるし、きっと私は英雄になれるだろう


 そんなことを考えながら、私は予言の書を開いて解読する。


 そしてあらかた読み終えてから、私は予言の書を投げ捨てた。


 デタラメが書かれていたわけではない。間違いなくこれは本物の予言の書で、書かれてから1000年先の出来事までが正確に記されていた。しかし、遺跡に安置されてから既に1000年以上経過し、予言書の内容は全て過去の出来事になってしまっていたのである。

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