ギャグ式暖房機

 私は新発売の「ギャグ式暖房機」というもの購入した。


 これは「面白いギャグを言うと場が暖まる」という現象を利用した機械で、この暖房機の前で面白いギャグを言うと部屋を暖かくしてくれるのだ。


 この機械はエアコンのように多くの電気を使わないので、かなり電気代の節約になる。


「早速使ってみるか。ボタンを押して面白いギャグを言えばいいのか。えーっと……」


 私は少し考え込む。「面白いギャグを言う」といっても改めて考えてみると結構難しいものだ。


「適当でいいか……布団がふっとんだ!」


 俺がそう言うと同時に暖房機から暖かい風が吹いてくる。そのはずだった。


 しかし、ギャグ式暖房機から吹いてきたのは冷風だった。しかも停止ボタンを押しても全く停まらない。室内の温度はどんどん下がる。俺の言ったギャグがあまりにも寒かったせいだ。


「いかん! とりあえずここから脱出しないと……」


 しかし、足が動かない。凍ってしまったようだ。続いて腕も体も……


 私の全身が完全に凍ってからも、ギャグ式暖房機は動き続け、家中、町中、日本中、ついには世界を凍らせた。



 その後、地球は数百万年の間、何もかも凍りついた死の時代が到来することになる。しかし、その原因が私の「布団が吹っ飛んだ」であることは私しか知らないのだった。

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