新人殺し

 俺はとある競技のプロ選手だ。長年やってきたベテランで、そこそこの選手だと自負している。特に新人に対して滅法強いので世間じゃ「新人殺し」なんて言われているようだ。


 その日も鳴り物入りでこの世界に入ってきた有望な新人選手と対戦することになった。



「こんにちは。お手柔らかにお願いしますよ」


 新人は挨拶し、握手するために右手を差し出してきた。礼儀正しいが、内心自信満々のようだ。





「ああ、よろしく頼むよ」



 俺は新人のリクエスト通り、ゲル状に変化させた柔らかい右手を差し出し、彼の右手にまとわりつかせた。それに驚いた新人はそのまま気絶し、担架で運ばれていく。


 これでまた不戦勝。「新人殺し」の伝説はまだまだ続く。

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