第6話鼠月虎日『光に飲まれ、魔法を教わることになったw』
「ぽっぽ、何してんの?」
デートの最後、マウンテンで夜景を見るつもりが謎の儀式を行う異世界人に出くわしてしまった。
「異世界の荷物を取ってこようと思って」
「そっか〜」
異世界の荷物を取ってきたらしいぽっぽ。
「ホクサイ!何この子!めっちゃかわいい!白髪!」
「ぽっぽっていう異世界人だよ。あとで詳しく説明するわ」
「ははぁ」
なんかわかり速くて助かる。
「ところでだぽっぽ。あっちにいる六人は誰だ?異世界人?」
「うん。紹介するから二人ともこっちきて」
大丈夫だろうか。
◇◆◇◆◇
「ぱっぱです」「ぴっぴだ!」「ぷっぷっす」「ぺっぺです!」「ぽっぽ」「ぱっぱII」「ぴっぴII」
親はどうした!?
光の正体は魔法陣だった。それはセイコさんの部屋にあったものに似ている。
「ほわー、すごいねホクサイ」
「隣のアパートに住む人がぽっぽを召喚したんだよ。それで家にぽっぽがきて…みたいな」
「よくわかんないけどわかった」
「ぽっぽは帰りたいとか思わないの?」
「べつに、普通に帰れるし。でもこの世界のご飯は美味しいからしばらくこっちにいる」
なんかあとで問題になりそうだなー。
魔法陣とかあるなら当然魔法もあるだろう。この世界と異世界人の戦いが起きたら絶対に勝てない気がする。
「あ、言い忘れてたけどいま魔法陣に入らないでね?飛ばされちゃうからね」
「は!?」
「ほ?」
俺は魔法陣には入ってないが――――、
ユキノブは魔法陣のど真ん中で「うわー!知らない文字!」とか言っている。
「ユキノブ!」
俺は手を伸ばす。
「ホクサイどしたん?」
俺の手を取り引き寄せてくるユキノブ。おい!
俺の右足はしっかり魔法陣に入った。
「あ」
「え」
青白い光が緑色になり、俺たちを吸い込む。
「「がああああああああああああ」」
俺たち――ホクサイとユキノブは異世界に飛ばされた。
◇◆◇◆◇
「ホクサイ!どうしようか?」
「まぁ、ぽっぽ待つしかないよね」
俺たちはおそらくぽっぽの家だと思われる場所にいる。
ベッドには女子が好みそうなぬいぐるみ。そしてデスクの椅子にかけられた服はどうみても女物。しかしどうしてか、ぽっぽが着ているとは想像しにくい。
ちゃんと異世界。窓の外を見れば猫耳が生えた人とかいっぱいいる。普通の人間ももちろんいる。
「ワクワクするね!ホクサイ!」
「わかる。でも死にたくない」
「ホクサイ、今日はありがとうね?」
ユキノブはベットに横たわりながら言った。
「いや、こちらこそ。マジで楽しかったよ」
「じゃあさホクサイ!また遊ぼうよ!近いうちに」
「喜んで」
なんて平和な空間なのだろう。謎世界で二人きり。そんな状況で何も起きないはずもなく――――、
「え?なんでホクサイがここに?」
人が現れた。
「なんかぽっぽの魔法陣に入っちゃって」
「私もでーす!」
セイコさんの部屋だった。
どうやらセイコさんはぽっぽと二人で異世界で魔法の練習をしているらしく、ぽっぽが「日本で飯が食いたい」と言ったことから、移動していたそう。
「あ、そうだ!ホクサイ。魔法の練習参加するかい?よかったらそこの君もどうだい?」
「「いいんですか!?」」
「うん。ぽっぽに教わったらこないだのお礼に教えてあげようと思ってたしね。ホクサイそういうの好きそうだし」
俺とユキノブは魔法を教わることになった。
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