オニキスの物語

 また婚約が破綻になった。これで何度目になるのだろう。結婚して離婚するよりはマシなのかもしれないが、三十路も過ぎたいい年齢なので、そろそろ諦めてもいいような気はする。

 潔癖のきらいがあることは認めるが、婚約あるいは婚約手前までは順調なのに、その先へとなると相手なりその周辺なりで事件や事故が起こって関係が破綻する。私を守る霊的なものがあるとしたら少々自己防衛が強過ぎはしないだろうか。


「まあ、本当に良い縁であれば、夫婦でその困難に立ち向かおうってなるはずだもんね。そうはことが運ばないってんだから、それまでの相手だったんだろうな」


 悪縁を切ったのだと思えばいい。私にピッタリの相手が現れればありがたいが、ひとりならひとりで乗り切れるようにそろそろ準備が必要だ。


「よきご縁に恵まれますように」


 神さまに祈って、私はその場をあとにした。



《終わり》


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オニキスの宝石言葉

【自己防衛】【悪縁を切る】

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