宝石寝物語【短編集】

一花カナウ・ただふみ

ルビーの物語

 静かな情熱をたたえた瞳で見つめられると、もはや逃げることはかなわないのだと察してしまう。その腕に抱かれるといよいよ降参だ。

 生命力あふれるみずみずしい肉体。これが若さというものだろう。


「……もう諦めて」


 最初に告白されたとき、その気持ちを受け取る勇気がなかった。彼はずいぶんと若かった。成人したばかりで、私よりも十も年下。のらりくらりとかわしてきたけれど、その思いはずっと変わらぬままでいたらしい。

 威厳をも身につけて再度現れた彼から告白されて、私はもう拒めなかった。


「私の負けでいいわ」


 口づけをもって了承の返事にする。嬉しそうに笑い、深い口づけに意識はとけた。


《終わり》



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ルビーの宝石言葉

【情熱】【生命力】【勇気】【威厳】

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