俺氏、自己紹介をする~エリクサーを添えて~


 学園もの恒例の自己紹介タイムが始まった。

 原作ではこの自己紹介タイム次第でヒロインの好感度を上昇させることが出来るので、割と大切なイベントだが。

 主に俺のせいで本来Aクラスにいるはずのヒロイン3名が不在です。


 さてどうなることやらやら。

 主人公もどきはどんな自己紹介をするのかな。


 一人楽しみにしながら待っていたら、俺の番が回ってきた。

 どうやら主人公もどきよりも俺の方が先に自己紹介をしなければならないようだ。


 まあ、いいや。せっかくだしここはいっちょかましてみますか。


「ファーーー、俺の名前はグレン・アスフォールだ。

 アスフォール家の五男であり、錬金魔法の超絶天才だファーーー。

 アンクル商会の方で錬金魔法士として働いていて、錬金部門統括者の地位を持っているしお金もそれ相応に持っているファーーー。

 さて、せっかくだし、俺の技の一つを見せてあげるファーーー。


 錬金魔法合成・範囲指定・教室内・空気+エリクサー」


 Aクラスの教室に霧となったエリクサーが散布される。

 これは原作には存在しなかった技であり、俺が発見したオリジナル技というものだ。

 空気を軸にエリクサー等のポーションを合成させて少し効果は落ちる物のほとんど同レベルの効果を発生させてくれる非常に便利な技だ。


 エリクサーってのは一部のヤバい病とか古傷を除けば大抵の傷を治してくれる万能薬だ。

 これで皆割と元気になっただろう。


「ファーーー、因みに今使用したエリクサーは俺が作成した物だ。まあ、俺の手にかかればこのくらい余裕って訳だ。

 これからよろしくファーーー」


 周りの反応は割と良かった。

 元々俺が錬金魔法の天才ってのは有名だし、エリクサーを使って皆の体の調子を整えたのはパフォーマンスとして割と良い物だと受け入れられている。


「はい。ではグレン君の自己紹介でした。次の人お願いね」


 流れる様に次の人の自己紹介が始まっていき、少し待っていたら主人公もどきの番が回ってきた。


「俺の名前はジーク。いずれこの世界を救う英雄になる男であり、神に愛された男だ。

 本来ならば一つしか与えられない得意属性を複数持ち、レベルは15歳にして既に51、冒険者ギルドでのランクもAランクだ。

 皆とは仲良くしたいからよろしくな」


 うわ、うざぁ。

 何コイツウザすぎるだろう。

 流石、主人公もどきだ。

 俺も人のことを言えた義理じゃないかもだが、上から目線&自画自賛エグ。

 神に愛されるって、世界を救う英雄って、俺のせいで魔王復活しないし無理だろ。

 痛い痛い痛い痛い、痛すぎるわ。


 周りを見るが、主人公に惚れてる幼馴染キャラのユイちゃん以外は少し引いてる。

 それでも、レベル51ってのと冒険者ギルドランクがAっていう明確な強さを表してるからそこまでって感じだ。

 実績や地位があるってのはそれだけで称えられる一つの指標になるからな。


 まあ、別に俺にとっては割とどうでもいいな。

 さて、他の人の自己紹介を聞いてくか。


 暫く聞いてると幼馴染キャラのユイちゃんの番が回ってきた。


「どうも私の名前はユイです。

 ジークの彼女をしています。ジークは幼少期、村に襲撃をしてきた魔物から私を救ってくれた。私にとっての英雄です。

 ジークはとっても強くて優しくて、少しエッチだけどとても良い人です。これからもよろしくお願いします」


 洗脳されてんじゃないかってくらい主人公もどきへの愛がエグイな。

 まあ、多分幼少期から光源氏計画でも主人公もどきがした結果だろうけど。いやはや、ファーーーですね。

 まあでも幸せそうだし問題はないかな。多分。

 幸せならオッケーですって名言もあるしな。


 しっかし、ユイちゃんはヒロインの一人ということもあり普通に可愛いからな。

 何人かの男子がジークを親の仇のような目でみてやがる。

 ハハハハハ。草。

 マジでファーーーだな。




――――――――――――


 この作品が少しでも面白いと思って頂けると嬉しい限りです。

 

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