【速報】俺氏、状況確認をする


 今年で41歳、仕事も安定しており、収入もそこそこ、所謂独身貴族というのを謳歌していた俺はいつもの様に仕事に向かうため、地獄のような満員電車に乗ろうとした時だった。

 隣の学生が電車に向かって飛び降りた。

 所謂投身自殺という奴だ。

 その時、おそらくわざとではなかったのだろうが、俺に思いっきりぶつかってしまい、俺も体勢を崩して落下してしまう。

 あ、ヤベぇと思った瞬間に電車が来て、肉片ミンチでデッドエンドだ。この世界からさよならバイバイだ。


 我ながら酷い終わり方だと思う。


 正直、自分は死ぬとしたらそこそこ良い老人ホームで健やかに余生を過ごしてそのまま眠るように死ぬと思っていたのだがな。


 で、そんな俺は目が覚めたら赤ん坊になっていた。


 学生の頃からライトノベルを趣味とする俺はこの状況を一瞬で理解が出来た。

 所謂異世界転生って奴だ。


 そんでもって転生した俺の年齢は0歳。

 普通に生まれた瞬間からのスタートだった。


 生まれたばかりだから上手く目も見えなければ耳も聞こえない状況、普通の人なら発狂してしまいそうな状況だが、ライトノベル脳な俺はそれを全て受け入れて、頭の中でもう二度とプレイできないゲームの数々や二度と読めないライトノベルを思い返しながら、赤ん坊としての日々を過ごした。

 

 数か月が経ち、ある程度、目が見えるようになり耳も聞こえるようになった。

 何故か言語は普通に日本語であり聞き取ることが出来た。


 薄々気が付いていたが、時代背景は中世ヨーロッパ、もしくは近代ヨーロッパくらいでありそうで、自分の生まれた家はメイドや執事がおり貴族というものであった。

 一人軽く関心しながら、これからについて考えていたある日俺の母親が来て、俺の名前を告げながら頭を撫でて来た。


「グレン、元気に育ってね、アスフォール家の5男として立派に成長するのよ」


 と。


 そして理解した。


 あ、俺、あの魔王殺しの英雄学園の怠惰なかませ犬、そしてプレイヤー達からは非常に愛されキャラであり、組織票の結果、人気投票ランキング1位を取ったこともあるグレン・アスフォールに転生したということに。


 以上。

 終わり。

 解散。

 解散

 解散で~~~す。


 いやマジで誰か助けてクレメンス。

 


 

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