ほとほるふゆ

 満天の星空を振り仰げば、瞳の中に小さな宇宙が広がった。

 冷気に刺された鼻が痛い。そんな当たり前のことでさえ、嬉しくて、切なくて、胸が張り裂けそうだ。

 感嘆の声で空気を白く染めながら、「また来年も一緒に見てくれる?」と君が問う。

 きゅっと固く結んだ手。かじかむそこから伝わるぬくもりが、張り裂けそうな胸に沁みとおる。

 僕は小さく頷いた。「もちろんだよ」と——嘘を、ついた。

 高らかにうたう星々のした。残酷なまでに美しい彼らのしたで僕は笑う。精いっぱい笑う。

 終わりゆくものの儚さを感じながら。

 どうか君に気づかれませんようにと祈りながら。


 君と過ごす最後の冬。

 淡く、きらめく、


 ほとおる冬。

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