第4話 生まれてから5年
生まれてから5年
3歳になり私は今立っている、前世ではなかなか立つことができなかったというより立てなかった。
目の前が見えない状態だと立つなどということは難しい。
だが今回は目もしっかり見えるし、こんな小さな状態で立つことができるとは思わなかった。
でも人族はこれが普通らしい、早いものだとこの年で走り出すものもいるという。
確かに生前の犬族と比べれば遅いが、その分寿命も長いのだ贅沢は言うまい。
「はいはい あんよがじょうず」
「あうあう」
言葉も少し覚えたがなかなか声を発するのは難しい、覚えたのは「まま」と「ぱぱ」。
言葉の発音は前世の世界とは違うようだが、徐々に覚えていけばいいと考えている。
急ぐことはない。
つかまり立ちそして座り、何度となく繰り返しそして眠りミルクを飲みまた眠る。
いつの間にか私は成長し人族と同じように立って走り回るようになっていた。
素晴らしい、前世ではこのように走り回ることができなかった。
手は地に着くことがなく体の横に収まり走るときには前後に振る、ややぎこちないが速度を出すだけたくさん腕を振ればかなりの速さで走ることができる。
これも生前の種族とは比べられないが、目線が違うのでより遠くを見ることができる。
目が見えるというのは素晴らしい。
「ラポーチごはんよ」
4歳ぐらいからは食事もおかゆや麦に代わっていった、どうやらこれはパンというものらしい。
前世では粒粒の茶色い固い塊だったり牛乳という白い液だったりしたが、この世界ではこれが普通なのだろう。
それと一緒にスープというものが出る、食欲を誘う香りがしてこれが結構おいしい。
特にパンをそのスープにつけるとパンが柔らかくなり食べやすくなる。
後はたまに干し肉というのが出る時がある。
歯が生えそろわない私にとっては干し肉もスープにつけなければ噛めなかった、生前ならすぐに歯が生えたので肉などあっという間に食べてしまえたが、人族はやはり勝手が違う。
この家の食事時は結構騒がしい、私には姉と兄がいる姉は現在10歳兄は8歳そして私は5歳になった。
兄と姉はすでに父や母の手伝いをしており、私は兄について行き手伝いをしながら遊んでいる、
そんな普通の生活にも終わりが来るとは思わなかった。
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