SUN RISE

@twisted12

第1話 RISE

俺はゆっくりと目を開ける。朝日の光が部屋に差し込んでいる。


「ああ、また同じ夢か」


ふとそう呟く。夢の中では、世界が崩壊する瞬間を繰り返し見ていた。都市が炎に包まれ、ビルがくずれ落ちるさまは、まるで絵画のようだった。


ベッドから身体を起こす。疲労感に襲われる。いつもと変わらない日常なのに、なぜか気分は重い。


キッチンに向かい、食パンにバターを塗る。コーヒーを注ぎ、ぼんやりと外の景色を眺める。陽ざしは穏やかだ。


玄関を出ると、いつもの通り電車に乗った。Mutable Solutionsのオフィスは10階にある。俺は製品開発部門の庶務担当だ。会社には5年勤めているが、仕事にはあまりやりがいを感じない。


昼食後、上司からある提案をされた。


「君ならこの仕事を任せられると思う。ぜひプロジェクトリーダーを引き受けてほしい」


新製品の開発陣頭指揮だ。迷うことなく首を縦に振った。


その日の夜、久しぶりに張り詰めた表情で帰宅した。やっとのことで、この会社で自分の可能性を開花させるチャンスが巡ってきたのだ。


目を覚ますと、アラームが鳴っている。俺はベッドから飛び起き、息を荒くした。


「まさか...同じ夢を見ていたわけじゃないだろうか」


不安に駆られる。夢の中で見た出来事が、はたして本当に起こったことなのか。記憶が曖昧になる。


シャワーを浴び、スーツに着替える。電車に乗り込むが、Mutable Solutionsのビルが目の前にあるはずの場所には、瓦礫の山だけが残っている。


「この世界は...終わったのか」


絶望的な現実に打ちひしがれる。人知を超えた力が、文明を一瞬にして滅ぼしたのだろう。


手探りで生き延びる日々が始まった。食料の確保に四苦八苦しながら、ひっそりと年月は流れる。


新しい出会いと別れがあり、小さな共同体が築かれは崩壊する。


この先、俺が何をするべきかは定かではない...

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る