第二十六話 歯車
被害妄想、なのだろう。
手助けの申し出を受け入れるという事は。
可哀想だと。
認める事だと考えるのは。
けれど、生まれた考えをそうそう捨て去る事はできず。
手助けの申し出はすべからく、やんわりと笑顔で受け流す。
受け流せない時は、受け入れるしかないが、どうしても、胸に澱みが生まれる。
その澱みは確かに全身に広がる。
悲哀となって全身を重くさせるも次には、瞋恚へと変換。
認めさせてやる。
髪の毛の有無だけで自己を判断なんてさせない。
劣っているだなんて思わせない。
そう意気込む度に、思い知らされる。
私は空回りする歯車だ。
動くと動かざるにかかわらず、『砂の国』に存在するすべての歯車は嚙み合って『砂の国』を動かしているのに、ひとつの歯車である私だけその中に組み込まれず、カラカラカラカラと空回り続ける。
この決意も、瞋恚も、無意味で無駄な想いなのだろう。
思い知らされる。
思い知らされるが。
変えたい。
変えたいという、その気持ちがどうしたってなくなる事はなかった。
きっと、確実に。
一生なくなる事はないだろう。
髪の毛がなくてみんなと違うところがあっても、同じだと、認めさせたい。
(2023.8.23)
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