超すきな俺と超きらいな君
梓ゆみ檀ゆみ
第1話ーきらい、すき。
中学三年の春。卒業式当日。
目の前には背筋のすっと伸びた人影が、散りゆく桜の花びらよりも華やかで、かつ繊細な微笑でこちらをみつめる。胸ぐらいまで伸びた髪を見て、ああきれいだなと思わず口からこぼしてしまいそうになる。その美貌に恍惚として見入ってしまった。
「話ってなに?」柔らかいその唇の動きにうっとりとしつつ視線を落とし、口を開く。
「すきです。俺と付き合ってください!」 言った。ついに、この瞬間が…!
「ごめんなさい。私あなたのこときらいなの。」
…ん?な、んか思ってたのと違っえ?き、きらい??
あーなるほどな。俺振られたんか。。そっかぁ…。でも、
「これで諦めきれるほどの恋じゃないんだ。待ってろよ、俺は絶対お前を惚れさせるからな!」
くそっ、畜生!恥ずかしさと情けなさでいっぱいになって、もう何も考えられないまま卒業証書の入った筒をバトンのようにして思いきり走った。
…!!!!
「ふわぁぁぁぁ…!!?」もう無理ほんっと無理!いつもあのセリフにときめいてしまう自分がつくづく嫌になる。
「すきになっちゃいけないのに…」ぼそっとつぶやく。いつからだろう。あいつをかっこいいと思ってしまうなんて…
「ないないない!そんなことになったら私の株大暴落!私のきらきらライフはまだ始まったばっかなのよ!すきになんかなるものですか!」下唇を歯で挟み込み、俯く。首から下げたペンダントのストーンに手をやる。ぎゅうっと握りしめ、強く強く念を込める。
念を込めた手がふんわりと光始め、やがて世界を巻き込む輝きとなった。
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