第7話豊富美琴視点

私の名前は豊富美琴、二児の母親である。今子供の悩みで頭を痛めている。


長男の豊富竜次は成績が本当にヤバい。高校一年の一学期の期末の順位が最下位。


私は盛大な溜め息をはいてしまう。


高校入学時は、竜次もここまで酷くはなかった。原因はわかっている。私のもう1人の息子である真琴にある。


竜次は夫の清次に似て真面目で頑張り屋さんだからコツコツ毎日頑張って積み上げていく。しかし真琴は一瞬で飛び越えていく。


あれは隣の家に住む竜次の彼女が遊びに来た時だった。彼女は学校帰りに直でウチに来たので学校カバンを持っており、課題でわからない所があるから教えて欲しいと彼女に聞かれたが竜次は答えられず、夕飯の準備をしている私に二人で聞きに来たのだ。


その時に、答えを教えたのは私ではなくまだ小学生の真琴だった。あの子は、既に中学で学ぶはずの内容を勉強済みだった。誰に教えてもらったのか聞くと竜次の中学時代の教科書やノートを見て勉強したと言っていた。


「出来る事が少ない今勉強に費やして、出来る事が増える後は遊び放題!俺天才じゃね!それより兄貴がわからないなら俺が教えてあげる!俺の部屋に来なよ!」


その後竜次を置いて真琴の部屋に行った竜次の彼女。置いて行かれたあの時の竜次の顔はよく覚えてる。忘れられるはずがない。


真琴は親の目を抜きにしても・・・天才だった。昔から習い事に行かせれば毎回最高の結果を出し続ける。トロフィーや賞状を積み上げていく。


周りは皆真琴を誉め称える。


竜次は仲の良い友人以外『真琴の兄』と呼ばれているのは知っている。それが悔しくて必死に頑張っていた時期もあった。


しかし思うような結果が出せない中、真琴はいつも結果持ち帰ってくる。


「あ~、このトロフィー重い!何で優勝トロフィーだけこんなでかいの!2位と3位と同じ大きさでよくね?あ~もう~次は手を抜いて3位狙いでいこうかな?」


床に傷がつかないように気を使ったのかソファーにテキトーに投げる優勝トロフィーを見た竜次は俯いてその場でプルプルと震えながら立ち上がれず動けづにいた。


真琴、床の前に竜次が傷つかないように気を付けて欲しかった。

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