32 三人怪談会の続き
ほんとは三人会の翌日に桂雀太師匠ワンマン会もあったりする(笑)。
とりあえず高津の富亭の日記。
高津の富亭では色々な上方落語家が落語会を催行されています。以前に、笑福亭たまさん会があったのですが「都会の夜は怖いから行きたくない」という理由でパスした記憶が。わはは。梅田から阪神電車を使ったら楽だったよー。
一、笑金さんの「山への
これ西宮えびす亭で観てた! すっごく好きな話です。合コンに来ていた男子二人組が、会場にいた幽霊女子「あきちゃん」に憑かれてしまうというストーリー。憑かれた側の男子は何とかあきちゃんに成仏してもらいたいから、どうしたらいいか友人に尋ねる。
「どうしたら成仏してくれる? え? 絶景のところに連れて行ってもらいたいんやってよ?」
「そうか、わかった。それで成仏してくれるんやんな?」
ところが憑かれた男子は、なんとなく……あきちゃんに情が湧いてしまう。やさしい心根の人ですね。
あきちゃんと冥婚までしちゃうんだよね。
そして男子の寿命が尽きたとき、はじめて彼女の顔を観ることができた。
とってもうれしい! これからもずっと一緒にいることができる! 一緒に成仏しようね、そして、これからもずっと一緒にいようね!
このあたりの笑金さんの芝居で、もう既にわたしの心はツキツキ痛くなっている。そんでもって、あきちゃんは言う。
「今まで一緒にあちこち行けて、全部うれしかったよ! でも、一番感動したのは、あなたと一緒に人生の山を登れたことやったよ……!」
怖くない怪談、どちらかというとハートフル。怪談ユニット恐不知の山本洋介氏が、通常は人の裏側のエグさなどyoutubeでは主に話すのに、時々「ほろっ」と泣きたくなるストーリーを持ってくるのに似てる。ちなみに洋介さんで、わたしが好きな話は「クリスマスイブには別れも似合う」。
一、二豆さん「井戸(仮)」
擬古典、とご本人は仰ってました。その通りに古典落語の気品が漂いつつも、やっぱりひとつひとつのフレーズが怪談フレーバーがいっぱい。この日がネタおろしだったのかな?
二豆さん初見だったんですけど。お若いはずなのに、ひとたび本題に入ると口振りが、風格ある古典落語家のそれらにザっと変わっていく様が興味深かった。
夜、うちの井戸のそばに母親がいる……。
「なんや帰りが遅いの迎えに来てくれてたんちゃうんか」
「待て待て、うちのおかん死んでるやないか……」
「あっ」
そこから話が転がっていく。
……汲んでくれ、とお母さんは言っていた。もしかしたら地獄に堕ちているのではないだろうか? いや、そんなはずはないだろう? おまえさんのお母さんは、村一番のいい人だった、そんな人が亡くなってから地獄にいくはずがない。
そうだろうか。当たり前やないかい。
しかし、ある日。
その男性ふたりの共通の幼馴染であり親友が亡くなってしまった。野辺送りが終わった夜、亡くなった親友が井戸のそばに立っている。
なぜ? 座棺は地中に埋めたはずなのに?
母親を亡くしていた男性が井戸の中に引きずり込まれるところが、リアルすぎて背筋が凍りました。
でも逃げ切れなかった。玄関の戸口に、また立っているのだから。
一、健枝郎さん「皿屋敷」
これは有名ですね! 説明は不要でしょう。
姫路城の近くに居を構えるお侍さんの、アレです。個人的に興味津々だったのは健枝郎さんが、どんな風に井戸から姿を現すお菊さんを表現するのだろう? ということ。涼やかに整ったルックスの噺家が、どれだけ崩せるかというところが注目でした(何様)。
クール美人がはっちゃけて「やかましいわ! ポンポンポンポン好きなこと言いよってからに!」と言ってしまうところが、ほんっと良かったわー! 可愛かったし、色気もあった。男前って罪よねぇ。
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