鳥人の影―人間の顔をした鳥に追いかけられる怖い話

O.K

第1話:鳥人

かつて、遥か昔のある小さな村があった。その村は美しい自然に囲まれ、穏やかな日々を過ごしていたが、一つだけ不思議なことがあった。それは、夜になると村人たちが異変を感じるということだった。数人の者が、不気味な影を見かけたり、奇妙な声が聞こえたりしたと言っていた。しかし、誰もその正体を知る者はいなかった。


ある日、村には旅する者が現れた。その旅人は長い旅路の末に疲れ果てており、村人たちは彼を親切にもてなした。旅人は名乗らず、ただ「鳥人」と名乗るだけだった。彼は背中に大きな翼を持ち、人間のような顔をしていたが、どこか不気味な雰囲気を漂わせていた。


最初の数日間は、鳥人は村で静かに過ごし、何事もなく穏やかな日々が続いた。しかし、夜になると村人たちが再び不安を感じるようになった。何かが村を覗き込んでいるような気がして、誰もが目をそむけようとしていた。


ある晩、若い村の少女が何かを見たと村人たちに告げた。彼女は恐る恐る語り始めた。「私、外に出て星を見ていたんです。すると、鳥人が空に浮かぶように現れて、私を見つめていたんです。顔が人間のようだったけれど、目が怖かった…」


村人たちは少女の話を信じなかった。彼女がただの子供の想像か、夜の闇に脅えたのだろうと考えていた。しかし、次第に他の村人たちも同じような体験をするようになった。鳥人の存在が村に広がるにつれて、村の空気は不穏なものに変わっていった。


「鳥人」という存在に怯える村人たちの中でも、一人の老婆がいた。彼女はかつて同じような恐ろしい経験をしたことがあったのだ。彼女は静かに村人たちに警告し、夜に外出することを避けるように忠告したが、誰もが彼女の話を無視した。


ある夜、村人たちは夜の祭りを開くことにした。彼らは鳥人の恐怖から逃れようと、楽しい時間を持とうとしていたのだ。しかし、夜が更けるにつれて、鳥人の存在が村にさらに迫ってきた。人々は一層怖れを感じ、次第に祭りの雰囲気も陰りを見せていった。


そして、その夜、鳥人が姿を現した。村の真ん中に立ち、翼を広げながら不気味な笑みを浮かべていた。村人たちは恐怖に打ち震え、逃げ惑いながらも彼に追いかけられた。村は混乱に包まれ、人々は必死に逃げ惑ったが、鳥人は彼らを執拗に追いかけていった。


村人たちは命がけで逃げる中、老婆の言葉を思い出し、彼女の家を目指した。彼女は古代の呪術を用いて鳥人を封じ込める方法を知っていた。村人たちは急いで老婆のもとにたどり着き、鳥人から逃れる術を乞うた。


老婆は彼らに古い巻物を渡し、呪文を唱えるように指示した。村人たちは巻物に書かれた呪文を声高に唱え、力を合わせて鳥人を封じ込めようと試みた。すると、鳥人の体が光り輝き始め、次第に消えていった。


村に再び静寂が戻り、鳥人の姿は消え去った。しかし、村人たちの心には深い傷が残った。彼らはあの恐ろしい体験を決して忘れることはなかった。その後も村人たちは夜になると外出を避け、鳥人の存在を恐れるようになった。


そして、それから数年後のある夜、再び鳥人の姿が村に現れたという噂が広まった。村人たちは再び恐怖に怯え、鳥人の追いかける姿が夜空に浮かび上がると言われている。その村では夜になると、鳥人が顔を覗かせるという噂が広がった。村人たちは再び不安と恐怖に包まれ、夜の訪れを恐れるようになった。

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