第16話 帝国へ


「おはようございます!」


「はい、おはよう~」


とは言うけど、もう夕方。


もう少ししたら、もう寝る時間だわね。


体の相性が良いのか、セレスくんがタフなのか…新婚のせいか、一日中求められっぱなし…


うふふふっ、嬉しくてつい応えちゃうから、もう何日宿屋にいるか解らないわ。


私って凄く現金なのね…奴隷商に居た頃は外に出たくて仕方なかったのに…セレスくんと一緒だと、これもこれで楽しいのよ。


乱れたベッドの上でセレスくんを見つめると、セレスくんって恥ずかしそうにするのよ、凄くそれが新鮮で可愛いわ。 それにセレスくんに抱かれていると安心感があって悲しい事なんて全部忘れちゃうのよ。


流石に疲れてヘトヘトだけど、それがまた何とも言えないのよね。


この疲れた状態でセレスくんを見つめるのも…うん幸せを感じるわ。


「静子さんはそのまま寝ていて良いよ、俺なにか作るから」


ねぇ、全然違うでしょう?


本当にセレスくんは優しいわよね。


セレスくんのご飯は、私のと違って華があって凄く美味しいのよ。


だけど…


「先にベッドを綺麗にして、シャワーを浴びた方が良くないかしら?流石に汗だらけだわ」


セレスくんと愛し合ってばかりだから、大変な事になっているわ。


宿屋の方にも『昨日はお楽しみでしたね』って言われちゃったわ。


恥ずかしいけど…まぁそれすら楽しいわ。


「静子さんの匂いがするから、もう少しこのままで良いや」


こう言う事サラって言うから困るのよ!


顔が真っ赤になるわ。


「もう! そんな恥ずかしい事言わないで、さっさとシャワー浴びるわよ!」


こんな事言われた事無いから、恥ずかしくて嬉しくてどうして良いか解らないわ。


だから、私はセレスくんの手をとり風呂場へ引っ張っていくの。


「ちょっと寂しいな」


本当に寂しそうにこんな事言うのよ…


「そんなに私の匂いが好きなら、またつけてあげるから、寂しそうな顔しないでよ」


ハァ~この状態で拒めるわけないじゃない?


結局、さっぱりする筈のシャワーでまた、愛されちゃったわ…


若いって凄いわね…朝から沢山求められちゃったわ。


本当に凄いわ…まるで砂漠で水を求めるみたい…


本当に貪るように求めてくるのよ…


普通に考えれば、セレスくんは『やりたい盛り』の10代の男の子。


それなのに、娼館にも行かず、操を立てるように今迄童貞だったんだって…


そして、私が『初恋で理想の女性』なんて言われたらね…


嬉しくなってつい応えちゃうわ。


頭の中がピンク色に染まって…どうしようも無くなるわよ。


「好きだよ」「愛している」を連呼しながら、優しく宝物を扱うように抱かれたら…火が付いちゃうじゃない?


体の相性が良いのかな、凄く気持ち良くて…


全部受け入れたくなっちゃうわ…求め、求められてもう止まらなくなっちゃうのよ。


ふふふっ、結局お風呂場を後にしたのは2時間も後だったわ。


「なんだかゴメン」


「女として求められるのは嬉しいけど、流石にもうヘトヘトだわ、一旦冷静になりましょう」


「そうだね」


流石にこのままじゃ宿屋の人に悪いわね、ベッドやシーツ位纏めないと…


セレスくんは料理を作り始めたわね…う~ん幸せ。


だってセレスくんのご飯凄く美味しいんだもの。


外食となんら変わらないのよ。


「静子さん、ご飯出来たよ」


「相変わらず手際が良いわね、あっ、オムライス作ってくれたんだ、懐かしいわね、だけど、セレスくんは、良くこういうハイカラな料理つくるよね、私には出来ないわ、うふふふっ、ハートマークがついているわ!嬉しいわ」


トロトロの卵に静子ってケチャップで書いてハートで囲んであるのよ…しかも、カズマ譲りの料理の腕は天下一品。


こんな料理出来るのは女の子も含めて村じゃ2人しか居ないわ。

本当に食べるのが勿体ないわ…綺麗なんだもん。


「静子さん、冷めないうちに食べよう…いただきます!」


「いただきます」


これを私の為に作ってくれたんだ…そう思うとつい顔が綻んじゃうわ。


誰かにご飯を作って貰った事なんて殆どなかったわ。


食べる度に、セレスくんの愛情を感じるのよ。


今思えば、セレスくんって子供の頃からなのよね。


小さい頃から、焼き魚に焼き芋をくれたし、食堂で作ったご飯も良くくれたわ。



あの時から好きだったんだ…そう思うとついほっこりしちゃうわ。


「また、私の事見つめて、食べないの?」


「いや、つい見惚れちゃって」


「うふふふっ、またそんな事言って、もう! それでこれからどうするの? やりたい事があるなら手伝うし応援するわ」


流石にこのままって言うのもね…


「今が凄く幸せだから、もう充分かも知れない、夢はもう叶っちゃったしね」


それは確かに私もそうだけど…


このまま流されて宿屋から動かなくなりそうで怖いわ。



「もしセレスくんが、やりたい事が無いなら一緒に旅でもしない?…うふふふっ駄目かな?」



「旅、良いかもしれないね、静子さんと一緒なら楽しいし、最初の予定ではジムナ村で静子さんに会って、その後は帝国に行く予定だったんだ。」


「どうして、帝国に行くの? なにか理由があるのかしら?」


「だって、魔国から一番遠いじゃない? 折角、魔王討伐から離れられたから、一番安全そうな場所に行こうと思ってね。 魔国が帝国を責めるなら、王国と聖教国を越えて来ないといけないから、安全だよ」


本当にセレスくんはもう。


安全って、それ絶対に私の事よね。


わたしだってA級冒険者なのに、本当に過保護だわ。


だけど、それが…心地よいのよね…


「それじゃ、セレスくん、帝国に行ってみよう」


「うん、そうだね…」


こうして私達は帝国に旅立つ事に…セレスくんと一緒なら何処に行っても楽しいわよね。





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