第2話【過去】勇者ゼクト(息子)の旅立ち


少し前の事です。


私はジムナ村という村で、旦那のゼクト―ルと息子のゼクトと一緒に暮らしていました。


多少横柄な所はありますが、根は真面目な夫と、多少生意気な息子ゼクトと、ゴクゴク平凡な生活を送った筈です。


夫のゼクト―ルは少し遊び人でお酒好きですが、まぁごく普通の旦那です。


息子も少し女たらしですが…あれっ…まぁ普通ですよ!


息子のゼクトも15歳。


この世界では15歳になると成人の儀が行われ、ジョブを貰い大人の仲間入りをします。


私も夫のゼクト―ルも平凡なジョブですから、猟師とか農民、その辺りのジョブだと思っていたのですが…


息子のゼクトが成人の儀式で得たジョブは『勇者』でした。


しかも、他の三職(聖女、剣聖、賢者)も全員ジムナ村から選ばれ村はお祭り騒ぎです。


息子のゼクトを中心に三職に選ばれた、リダちゃんにマリアちゃんにメルちゃんはこのままパーティを組み王城に行き王に挨拶をして魔王討伐の旅に出るそうです。


母親として凄く心配だったのですが、しっかり者のセレスくんも一緒に旅立ってくれると言うので、安心です。


セレスくんというのは息子のゼクトの友達ですが子供とは思えない位しっかりした子です。


ませていて何故か、私を含む…おばさんと呼ばれる年齢の女性にも凄く良くしてくれます。


「静子さん、安心して村長に頼まれて俺も一緒に旅をする事になったから」


まぁセレスくんが一緒なら安心だわ。


◆◆◆


いよいよ旅立ちの日です。


「セレスくん、ゴメンね!悪いけど息子たちをお願いします」


「任せて静子さん!ハルカ姉さんにサヨさん、ミサキさんにも頼まれたから」


「多分迷惑を掛けると思うから、ゴメンね、先に謝っておくわ」


「静子さん、大丈夫だから!それじゃ行ってきます!」


「行ってらっしゃい」


比べちゃいけないのは解るけど、セレスくんは本当にいい子だわ。


それに比べてゼクトは母親の私に挨拶もしないで、全く…もう。








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