委員長の秘密

ミンイチ

第1話

 最近、我らが委員長の様子が変だ。


 授業中や会議中、さらには委員会活動中でもうとうとすることが多くなってきている(その姿は可愛らしいが)。


「大丈夫ですか?」と聞いても「ただの寝不足だから」と言って話を切ってしまう。


 帰るのも早くなったせいで委員会の仕事が溜まってしまう。


 以前は夜遅くまで残ってでも仕事をしようとする人だったのに。


 早く帰る理由を聞いてもはぐらかされてしまう。


 早く帰るようになってから1ヶ月が経ったある日、委員の1人が写真を撮ってきた。


 その写真には委員長が大通りから路地に入る様子が映っていた。


 見たこともないおじさんと一緒に。



 次の日、何人かの委員でしたじゃんけんに僕が委員長にこのことを聞きに行くことになった。


「委員長、これなんですか」


 放課後の委員会室で委員長に聞く。


 他の委員は部屋の物陰に隠れたりして聞き耳をたてている。


「それ、誰が撮ったの?」


「○○です」


「ばれちゃったか。

 ついてきて。

 隠れてる子も」


 委員長は扉を開けて部屋の外に出る。


 隠れていた委員と一緒に委員長についていく。



「ここよ」


 委員長は旧校舎の階段裏にみんなを連れてきた。


「どかすの手伝って」


 そこには大量の段ボールが置かれていて、みんなでそれを片付け始めた。


 片付けると下にマンホールがあり、そこを開けるとハシゴが下に続いていた。


 梯子を降りると近未来的な廊下があり、その先に一つの扉があった。


 先に委員長が扉の先に行く。


 慌てて追いかけると、壁だと思っていたものが上に動き出した。


「ようこそ、委員のみんな。

 これから世界を守っていこう」




「…というわけで君たちには世界の平和を守ってほしいんだ」


 委員長の話をようやくすると、「この世界は宇宙からの侵略を密かに受けていた」「それを守るのが委員長の家業」「侵略が増えてきて人手が足りない」というもので、そして委員である僕たちに手伝ってもらうためにここに連れてきたらしい。


「そして、君たちが言っていた男というのは私の叔父だ。

 『博士』と呼んでくれ」


 写真に映っていた男が研究室と書かれた扉の裏でこちらを見ている。


「戦うためには変身しなければいけない。

 そして、変身するために使うのがこの銃だ」


 委員長は机の下からおもちゃのような銃を取り出す。


「この銃の横のここにこのボビンをつけて掛け声と共に撃つことで変身することができる」


 一緒に戦うとも言っていないのにどんどんと話が進んでいく。


「さあ、一緒に戦おう!」


 ここで何人かの委員が何かを言おうとする。


「ちなみに、ここのことを知ったからには絶対に戦ってもらうよ。

 断った人の家に毎晩侵略者を連れて行ってでも戦ってもらうからね」

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