第14話オカルト発進アカウント鍵アカ

「私に聞きたい事って何?」


「無月さんお母さんに連れられて宗教に行ったりしてたんですよね?」


「そうだけどそれが何か?」


「その時のお父さんお母さんの言葉が何かふとしたきっかけになるかと思ったんですけどやっぱりそううまくは行きませんかね」


俺はため息混じりの口調で言う。


「残念ながらその期待には応えられそうにないわね」


「前にも言ったことだけど私は小さい時の記憶はほぼないからあまり期待しない方がいいと思う」


「どんなに些細なことでもいいんです」


「小さい頃から迷惑をかけられてた記憶なんて思い出したくないかもしれませんけどもしかしたらそれがきっかけになるかもしれないんです」


「って言ってもあの両親2人に変わったところなんて」


「元々だいぶ変わってはいたんだけど特に不審な動きをしたりとかはなかった」


「私がその宗教に連れられてた時はまずはその建物の中にある仏壇の上に置かれてる神様に祈りを捧げて」


「その次にその宗教の中で偉い人が少し長めの話をする」


「それからしばらくして今度は地面に座って全員でその神様に祈りを捧げる」


「っていうのが少なくとも私がその宗教に連れられて行ってた時のルーティーンだった」


奥深くに眠る記憶をたどるような口調で言う。


「宗教の人全員でその神様に祈りを捧げる、死者に対する弔いかなんかでしょうか?」


「さあそれはどうでしょうねなんせその時の私はとても小さかったから覚えてない」


「そういえば宗教で祈りを捧げてる時お母さんが口癖のようにこうして祈りを捧げてればいつか幸福が訪れるからって言ってた」


「祈りを捧げるだけで人が幸福になれるんだったら私ももっと幸福になってたはずだって思うけど」


「何かに祈りを捧げること自体は悪いと思いませんけど…」


「私もただ信じてるものに祈りを捧げるだけだったら好きにやってくれっていう感じなんだけど」



「その宗教で神様に祈りを捧げてる人たちはほぼほぼ体が痩せこけてて骨みたいだった」


「ほとんどの人の体が痩せこけているにもかかわらず周りにいる人たちはそれを一切気に求めずそれが当たり前かのように受け入れてた」


「それなのに同じように祈りを捧げてるその宗教の中で少し偉い男の人が痩せこけずに普通の人と同じ体型をしてた」


「それがとにかく小さかった時の私にとってはいびつな光景に見えた」


「その頃の私は子供ながらに疑問に思った恐怖を抱いた」


「その小さい頃の私は抱いていた感情をどう表現していいか全く分からなかったけど」


「今ならあの光景を表現できる」


「あの時あの場所にいた人たちは全員洗脳されてたんだ」


「なんでこんなのに祈りを捧げてるんだろうとか誰も思わずただただ全員が祈りを捧げてた」


「でも洗脳されてたのは私も同じ…」


「ちゃんと祈りを捧げないとお母さんとお父さんに怒られるって思ってたからとにかく頑張って何の神様なのかもわからない神様に祈り続けた」


「記憶が曖昧で小さい時の話だからそこまではっきり実際に考えられてたかはわかんないけど」


「その光景が異様でとにかく仕方がなかった」


それはそうだろう何歳から何歳までその宗教に連れて行かれていたのかは知らないが仮に3歳から6歳まで連れて行かれていたんだとしてもそこにいる人たちが何をしているか全く理解ができなかっただろう。


「その宗教は何か特殊な儀式とかを取り入れたりはしていませんでしたか?」


「私他の宗教とか行ったことないから何が変わってるのかとかわからないんだけど多分なかったと思う」 


「そうですか!」


軽く言葉を返しコーヒーを入れてくれたコップに口をつけコーヒーを一口のむ。


「後でまた勇輝と一緒に銭湯行ってくるんで」


そう言った後コップに入っているコーヒーを全て飲み干した。


すると家のチャイムがなる。


インターホン越しに確認してみるとそこに立っていたのは勇輝だった。


「やばい今日は少し早めに行こうって話してたんだ」


俺は言いながらも玄関に出る。


「悪い悪い今日少し早めなの忘れてた」


「そんなに急いでるわけでもないしお前の支度が終わるまで少し待ってるか?」


「いやそれは大丈夫俺も特に持っていくものとかはないし」


「そうかそれじゃあ行くか」


「ああ」


「俺を迎えに来てくれるなんて珍しいこともあるもんだな」


「ただ単純に仕事が早く今日は終わったからたまには迎えに行ってやろうと思ってな」


それから2人でいつも行っている銭湯へと向かう。


いつも通り体を洗ってもらい風呂の中へ入る。




「やっぱり銭湯っていうのは気持ちがいいな1日の疲れが取れる」


気持ちよさそうに中年の親父のような声を上げながら肩まで浸かる。


実際中年ぐらいの年なので仕方がないと言えば仕方がない。


「それでこの前頼まれてたもう1人の幹部のことについてなんだが」


「何か分かったか?」


こっちはこっちで何か大きな事件があったわけではないがここ最近は無月に色々なところに連れ回されることが多かったためかそのことについてすっかり忘れていた。


「まず今回俺が手に入れた情報は2つ」


「まず1つ目この前頼まれてたあの宗教の幹部のことについて」


「今回俺が調べた情報によると特に何か目につく経歴とか情報はなかった」


「だからそいつがどうして宗教に入ったのかとかについては実際に会って聞き出す他にない」


「唯一探し当てることができたのは宗教のホームページに書かれてるその男のキャッチコピーぐらいだ」


「そのキャッチコピーにはなんて書いてあった?」


「この宗教で骨を埋めますって書いてあったけど」


「それ以外は特になかったな」


「宗教のホームページなんだからもっと宗教のことについてアピールしろよと思ったけど」


「それとは別になんとなくその宗教のことについてネットで色々と調べてたんだそしたら…」


「その宗教のことについてネット掲示板で書き込んでるやつがいたんだ」


「俺もネットで色々と調べたりはしたけど一切その宗教のことについてホームページ以外ヒットしなかったぞ」


「普通じゃ気づかない」


「ユーザー名が特にその宗教のことを指した言葉ってわけでもないし」


「鍵アカだったから向こうがフォローしてくれないとどんな内容を発信してるのかわからなかったし」


「ダメもとでそのアカウントをフォローしてしばらく放置しておいたんだ」


「そしたら昨日そいつからアカウントのフォローが来て発信内容を見てみたらその宗教のことについて暴露してた」


「具体的にはどんな内容の発信をしてたんだ?」


「その宗教はやばいことをやってるとか」


「やばいことをやってるって例えばどんな?」


「その発信内容で書かれてたのは隠れて人体実験をしてるとか反社会的なことをしてるとかそんな感じの」


「ただそいつの発信内容に何の証拠もないからただ人の目を引きたいだけのやつかもしれないけどな」


俺は中途半端に宗教について情報を持っているだけに宗教のことについて発信している奴の言ってることに妙な説得力を感じる。


「そのアカウントをフォローしてるフォロワーをたどっていったらほとんどのやつがオカルトとか宗教とかに興味があるやつだったよ」


「ネット掲示板だけじゃなくSNSとかでも自分が関心があるアカウントにフォローが集中するから必然的にそうなるとは思うが」


「俺はそのネット掲示板で特にプロフィールもアイコンも何か設定しているわけではないんだが 」


「俺もそのアカウントにオカルト好きだと思われたんだろう」


「色々教えてくれてありがとうな」


「そのユーザーのリンクを後で俺のスマホに送っておいてくれこっちでも見てみる」


「分かった後で送っておく」

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