第2話

 伯母は大変優しい人である。幼少の頃から、何から何までおれの面倒を見、おれはもう頭が上がらない。おれが遊び相手にやんちゃをしたときですら、伯母は母親でもないのに、なみだをほろほろと流して、相手の親に何度も何度も頭を下げたものである。


 すみません、すみません。この子、本当は優しくて良い子で、ただ、あたしがしっかりとこの子を見てあげないからだめなだけで、全部はあたしのせいです。この子の両親は事故で亡くなって、それで……


 こうなると、誰もが困惑してしまう。迷惑千万、おれはいつもそういう人間だ。おれが伯母の人生を狂わせた。母も父も知らぬが、伯母だけが唯一の支えになってくれたというのに。

(陽呂子ひろこ、だったかな。伯母の名前は。速読術を心得ていて、日に四五冊は読んでいたと思う)

 あの、××さんはどう思いますか?

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