無の世界③

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「……うわぁっ!!!!」


 女の子が大きな湖の中に消えていったと同時に、わたしの身体は動き、声も出た。

 そしてその時に、転んで顔面を地面にぶつけて痛かった。


「……わたし、今独り……?」


 さっきまでわたしの前には女の子がいたから独りではなかった。

 でも、女の子が大きな湖に消えた今、わたし以外に人はいない。


「……やだ……」


 わたしは自分で一人になるのは静かで好きだけど、いきなり独りになるのは嫌いだった。


「………」


 なんか独りになったと分かったら、急に足に力が抜けて、ストンと両膝が折れて、わたしはその場に座りこんだ。


(あの女の子は、一体何に呼ばれたんだろう……?)


 わたしは女の子が消えていった大きな湖の先を見つめた。


(女の子が消えていった大きな湖の先に何があるんだろう……?)


 わたしはしばらく下を向き、ぼんやり女の子のことを考えていた。

 すると……。


 ……ちゃぽん……。


 また、水の音が聞こえた。

 下を向いて、女の子のことを考えていたからわたしは顔を上げて、大きな湖の先を見た。


「……あれ?」


 ……大きな湖の先には、さっきまで無かったものが存在した。

 それは……。


「……花……?」


 大きな湖の先が遠くて、あまりよく見えなかったけど輪郭からして、花だった。

 花の色は―――真っ赤。

 大きな湖の先に、真っ赤な花が見渡す限りにあった。


「……すごいキレイ……」


 キレイな真っ赤な花が大きな湖の先にいっぱいあるから、わたしは一本欲しくなった。

 欲しくて、わたしは左手を届かぬ大きな湖の先に伸ばした。


 ―――ドックン……。


「………?」


 その瞬間、わたしの身体に何かが起きた。

 両足は力が抜けて、動かないはずなのにわたしは立ち上がった。

 わたしの脳は、両足が立つことを指示していない。


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