リハビリ②

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「さくらちゃん、着いたよ。この中へ入れば、リハビリセンターの人が出迎えてくれるからね」

「……はい」

「じゃあ、私はナースステーションに戻るね。終わったら、自分の病室に一人で戻って来れるよね?」

「……一応」


 わたしは適当に看護師さんに返事をして、看護師さんはナースステーションへ戻って行った。

 看護師さんがわたしの視界から見えなくなってから、わたしはリハビリセンターの中へゆっくり入った。


「……こんにちはー」


 本当は挨拶なんてしたくなかったけど、『挨拶が出来ないのは、最低の人間だ』と小さい時から教えられていたから、小さい声だけど挨拶した。

 小さな声で挨拶したのに、わたしが挨拶すると、すぐに筋肉マッチョのお兄さんがわたしの前に来た。

 理学療法士の人だった。


「はい、こんにちは!

君が今日からリハビリを受けるさくらちゃんだね?」

「はい、そうです……」

「今日から一緒にリハビリ頑張ろうねっ。よろしくっ!」

「……よろしくお願いします」


 理学療法士さんがわたしの前に右手を出したので、わたしも右手を出して理学療法士さんと握手した。


「………」


 わたしと右手で握手をすると、理学療法士さんはさっきまでニコニコしてたのに、急に真剣な顔つきになった。

 わたしと握手している右手を離してくれない。

 一体、どうしたんだろう……?

 もしかして、本当は嫌だったのにわたしと握手した、とか……?

 理学療法士さんは、黙って握手している右手を見ている。

 わたしは不安になってきた。 


.

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