おてがみ

拝復


今年も暑い夏が訪れました。


真夏の炎天下。


蝉のBGMは飽きそうにありません。


外に出て郵便受けに向かいました。


郵便受けには1つの封筒。


今年もあなたからの封筒を受け取りました。


封筒は合計10封になりました。


あなたから届く封筒を無視し続けて10年。


僕たちは25歳になりました。


25歳のあなたを想像します。


美しい女性になっていることでしょう。


結婚もしていることでしょう。


一方の僕は、あなたの想像する人にはなれておりません。


昔のことを引きずって、今も人生に向き合えておりません。


・・・・・・・・・・


お手紙は今年で最後にしたく思っています。


僕は全ての封筒を開封しました。


全てのおてがみに書かれている1文。


毎年届く1文だけのお手紙は、年々、美しい文字になっていました。


1文に書いた想いとは何でしょうか。


なぜ、それだけを伝えるためにおてがみを書いたのでしょうか。


僕はあなたには会えません。


あなたにはあなたの人生があります。


どうかあなたの想う幸せを生きてください。


あなたのこれからの人生の幸せを願っております。


最後に


もう一度頑張ってみようと思います。


小説


もう一度だけ描いてみようと思います。


今までありがとうございました。


敬具


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