ブレンドM

「えっと・・・、あれ?」


 差し出されたラミネート加工済みのメニューからお目当ての物を探そうとするものの、ブその文字の一遍すら見当たらず私は首を傾げる。


 メニューのページを幾ら捲って行ってもあのコーヒーブレンドの名前の痕跡が見つけられず、売り切れや販売停止などでメニューの中から消した形跡すらなかったのだ。


 これはつまりそのメニューが初めから存在しない事を意味しているが、そんなことは無いはずだ。


 私が調べたあのニュースサイトでは、確かここの玉川珈琲俱楽部で・・・。


「後ほど、お伺いいたしましょうか?」


「すいません、少し考えるので決まったら呼びます・・・。」


 店員さんはそれを聞くと手元の注文書きの手を止めて、ではまたお伺いいたしますと一礼し調理場の方へ戻っていく。


 折角わざわざ注文を聞きにいらっしゃったのになんだか申し訳が無い気はするのだが、曖昧な注文は店員さんにも迷惑を掛けてしまうので仕方がない。


 しかして念願の店に来て件のメニューが無いというのに納得がいかない私は、そのニュースサイト以外から情報を得ようとスマホを取り出して検索を始める。


 えっと、玉川珈琲倶楽部、スペース入れて、森村ブレンドっと。

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