トラック6【添い寝】 たぬき寝入り禁止!
【位置:正面 距離:近】
「うーん、すぐに起きそうな感じではないかな?」
「よほど疲れていたみたいね」
//SE ヒロインが添い寝する音
【位置:左耳 距離:極近】
「ふふ、よーし、こうやって、私が添い寝してあげよう」
「目が覚めたときに、寂しくないように」
「あ、服が皺になっちゃうかな?」
「…後でアイロンかければいいか、うん」
//SE ヒロインが身じろぎする音
「………」(30秒程度、呼吸するだけ)
//SE ヒロインが身じろぎする音
「なんだか表情が柔らかくなったみたい」
「最初に見かけたときは、あんなに
「少しはリラックスしてくれたのかな?」
「そうなら、うれしいな」
「………」(40秒程度、呼吸するだけ)
//SE ヒロインが身じろぎする音
「男の子の寝顔、こんなに近くで見るの初めてかも…」
「ふふふ、起きてるときは警戒心の強いワンちゃんみたいな目で見てくるくせに、寝ているときは可愛いものね」
(少しの間)
「…ほっぺた、少し触ってみてもいいかな?」
「寝てるし、大丈夫だよね?」
//SE ヒロインが身じろぎする音
「えいっ」
「つん、つん」
「うん、ぷにぷにしてはいるけど、やっぱり女の子と比べてしっかりしてる感じね」
「マッサージやシャワーのとき、体もそうだったもんね」
「ガッシリしてるっていうか、何か、こう、頼りがいがあるっていうか…」
//SE ヒロインが身じろぎする音
「スンスン」
「匂いも、女の子と違うよね」
「どうしてだろう…?何が違うんだろう?」
「ふふ、でも、なんか落ち着く匂いかも」
(少しの間)
「私、今日はキミといられて、とても楽しかった」
「キミって、からかうと面白い反応するし、私が何しても本気で怒ったりしないし」
「私には分かるよ、キミは文句ばかり言ってるようで、私を傷つけないように、ちゃんと言葉を選んでるって」
「やっぱり、キミは優しい子だった」
「…料理だって、美味しいって言ってくれたし」
(少しの間)
//SE ヒロインが身じろぎする音
「ふふ、この子ったら、目を開けて寝ちゃってる……って」
【位置:正面 距離:近】
//SE ヒロインが飛び起きる音
「起きてるじゃないですかあああああ」
「『おはよう』、じゃないですよ!いつから起きてたんですか?」
「『すぐに起きそうな感じではないかな?』の辺りから?」
「ほぼ最初からじゃないですか!」
「もうっ、起きてるなら起きてるって言ってくださいよ、いじわる」
「え、私に言っておきたいことがある?」
「優花は男に対する警戒心がなさ過ぎる、ですって?」
「ど、ど、ど、どうして私の本名知ってるんですか?!」
「え、料理食べてるとき、自分で言ったって?」
「ううう…、そういえば、言ったかもしれません…」
「で、でも、私だって、誰にでもこんなコトしてるわけじゃないんですからね」
「これは…、これは、キミにだから、できることなんです…」
//SE ヒロインが添い寝する音
【位置:左耳 距離:極近】
「キミは覚えていないみたいですけど、私とキミは初対面じゃないんですよ?」
「キミが小学生くらいのとき、近所に会沢さんっていうおばあちゃんが住んでいて、当時、ご両親が家を空けることの多かったキミは、そのおばあちゃんの家に、毎日のように遊びに行っていましたよね?」
「おばあちゃんは一人暮らしでしたけど、その家にはたまに、小さくて可愛いらしい女の子が来ていたはずです」
「そうです、髪を二つ結びにした、おとなしい女の子」
「それ、私です」
「ふふふ、驚いていますね?いい気分です」
「私のフルネームは、会沢優花」
「そのおばあちゃんの実の孫です」
「まあ、当時の私は無口な子でしたし、キミの方も私を見かけると、いつもすぐに目を逸らして、どこかへ行ってしまいましたから、覚えていなくても仕方のないことかもしれません」
「知っていると思いますが、おばあちゃんは4年前に亡くなりました」
「私は両親の仕事の都合で遠方に住んでいたので、おばあちゃんをその晩年にひとりぼっちにしてしまったことが心残りで、叶うことならもう一度おばちゃんに会って、ごめんねって言いたい、ずっとそんな気持ちで過ごしてきました」
「最近になって、私たち家族はかつてのおばあちゃんの家に住むことになりました」
「近所の人たちは昔のおばあちゃんの話を、いろいろと聞かせてくれました」
「一人暮らしになったばかりの頃のおばあちゃんは、やはり寂しそうにしていることが多かったそうですが、近所の男の子が家に出入りするようになると、元気を取り戻し、いつも笑顔だったそうです」
「私は、昔、おばあちゃんの家で見かけた男の子のことを、思い出しました」
「そして、心がスッと軽くなった気がしました」
「おばあちゃんはひとりぼっちじゃなかった」
「私に出来なかったことを、代わりにしてくれた人がいた」
「私はその男の子にお礼を言いたいと思いました」
「男の子の家は、近所の人が教えてくれました」
「すぐ近くですしね」
「私が男の子の家に向かうと、ちょうど、キミが家から出てくるところでした」
「成長していましたが、私にはすぐに、あのときの子だって分かりました」
「でも、その様子は以前とは全く違っていました」
「だって、キミの虚ろな瞳には、今にも潰れてしまいそうなキミの心しか、映っていなかったんですもの」
(少しの間)
「私が何とかしないとって、思ったんです」
「おばあちゃんを笑顔にしてくれた、あの少年の眼差しを取り戻さなくちゃって」
「それで、気付いたらキミに話しかけていました」
「はは…、我ながら、後先考えていなかったと思います」
「でもでも、結果的には目的を果たすことができました」
「だって、今のキミ、とても穏やかな目をしているんだもの」
「ん?優花の相手をしていると、ほかの嫌なこととか、考えている暇も無い?」
「ふふふ、褒められているんだか、バカにされているんだか…、まあいいです」
(少しの間)
「あ、もう起きてるのに、いつまでも添い寝をしていたらヘンですよね」
「今、起き上がりますから…」
//SE ヒロインが身じろぎする音
「え…?もう少しこのままでいてくれって?」
(少しの間)
「あれあれ~、随分と甘えんぼさんになりましたねえ」
「ふふふ、いいですよ、キミが本当に眠るまで、添い寝してあげますよ」
//SE 主人公が寝返りを打つ音
【位置:右耳 距離:近】
「あ、今度は向こう向いちゃった」
「恥ずかしかったのかな?」
「こっち向いてください」
「おーい、もしもーし」
//SE 主人公が寝返りを打つ音
【位置:左耳 距離:極近】
「ふふ、こっち向いてくれましたね」
「せっかくだから、キミが眠たくなるまで、お話ししてあげますね」
「う~ん、何か私に聞きたいこととか、ありますか?」
「え?私の通ってる学校について知りたい?この辺りでは 有名なお嬢様校?」
「何で知ってるんですか?キモチワルイですね」
「ああ、私が着ている制服で…、なるほど、でもやっぱりキモチワルイです」
「ふふ、冗談ですよ」
「お嬢様校と言っても、ほとんどは私みたいな一般人の女の子ですよ」
「まあ、中には本物のお嬢様もいますけど、ごく一部です」
「残念ながら、キミが期待しているような清楚可憐な学園生活とかありませんから、ふふふ」
「女子校では男子の目が無いので、むしろ女子力が低くなっています」
「多くの生徒がスカートの下にジャージやハーフパンツを履き、アグラをかいたり、机の上に座ったりしています」
「3時間目の休み時間になると早弁する人がいて、教室が臭くなります」
「臭いと言えば、ロッカールームに脱いだままの体操服を置いていく子がいて、梅雨時にもなると、それはもうすごい臭いに…」
「あ、なんか意気消沈していますね」
「ふふふ、楽しくなってきました、続けましょう」
「休み時間の主な話題は、男性芸能人かアニメの男性キャラについてです」
「しゃべり声がやたら大きく、ガハハと豪快に笑う子や、イビキをかいて昼寝する子もいます」
「あと、最近学校で流行っていることと言えば、先生方に新しいあだ名を付けることですね」
「国語の佐竹先生のあだ名はミジンコに決まりました」
「学校でウサギを飼っているのですが、お昼時になると捕まえて食べようとする生徒が出てくるので、飼育部が交代で見張りに立つことに…」
「え?もういいって?」
「ふふふ、幻想を打ち砕かれましたか?」
「苦しんでいますね、とても良い気分です」
「ちなみに最後のウサギの話は嘘です」
「ふふふ、流石に気付いていましたか」
「でも、ほかの話は全部、本当ですよ」
(少しの間)
「では、話題を変えましょうか」
「え、私のことが聞きたい、ですか?」
「えーと、そうでうね、私は天使見習いのシャーロット」
「人間たちを癒やし、
「え、今更その設定は無理があるって?」
「む~、設定じゃないですよ…」
「まあいいです、人間としての私の話をしましょうか」
「私の名前は会沢優花。高校2年生。学校の成績はまあまあよいです。」
「好きな食べ物はオムライスに、コロッケに、お寿司に、チョコレートケーキに、うーん、ほかにも色々です」
「嫌いな食べ物はありません」
「好きなことは、料理と、あとは絵を描くことかな」
「料理は…、うん、すごく好きです」
「私、美味しいものを食べてるとき、すごく幸せな気分になれるから、私の大好きな人たちや、まだ知らない人たちにも、美味しいものを食べて、たくさん幸せを感じて欲しい」
「だから、とびきり美味しいお料理を作れるようになりたいんです」
「これでも、色々と勉強したり、練習したりしてるんですよ」
「この間は、オムライスが美味しいって評判のお店に、よりちゃんと行ったりもしました」
「とっても美味しかったですよ」
「うん、今日のオムライスは、そのお店のを参考にしました」
「少しは近い味にできていたかな…」
(この辺りから徐々に眠たくなってくる。話すペースが遅くなり、途切れ途切れに)
「そうそう…、そのときよりちゃんは、アラビアータのパスタを、頼んだんだけど、これがすごく、辛かったらしくて、私のオムライスと、交換してくれって」
「私は辛いの、大丈夫だったけど、今日はオムライスを食べに来たんだって、がんばったけど、結局、オムライス、半分以上食べられちゃって」
「ふふ、ウェイトレスさんがね、注文のときに、ちゃんと、これは辛いですよって、言ってたんだよ」
「なのに、よりちゃん、大丈夫だって…、ふふ、ホント、バカだよね」
「キミは、どんな料理が、好きなのかな?」
「和食かな、洋食かな…、それとも中華?」
「和食とか、洋食とか、言っても…、色々あるよね」
「ねえ、今度…、二人で、どこかに、食べに、行きたいね」
「行ってみたい、お店…、たくさん、あるの……」
「そういえば…、私…、キミの名前、まだ、知らなかったね…」
「良かったら、お名前…、教えて、欲しいな…」
「そうしたら…、これからは…、キミのこと…、名前で…、呼んでも…、いいかな?………」
//状況 ヒロイン寝てしまう
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