第2話 特殊施設

11567は言葉を喋れないわけではなかった。


時間が経つにつれ、少しずつ必要な言葉は

発することができるようになっていった。


11567からはほとんどの感情を読み取ることが

困難であった。


11567は驚くほど色々な知識を早急に

吸収していった。


理解力も高く、鋭く睨みつけるその瞳で

それが何を表しているのか、何故そうなるのかを

一片も残さず理解しようとしているようだった。


11567は体力が無かった。運動能力もあまりなく

10歳くらいまではずっと基礎体力作りをして

いたがそれらの要素は余り伸びなかった。


その為11567の同世代達は11567のことを

大したことない、すぐに消えるだろうと

思っていた。




この施設の子どもらは入所時は大体10歳前後くらいで、その後世代ごとにカリキュラムに添って

色んなことを学んでいく。


集められるているのは11567のように孤児や貧民層の子らばかりであった。


特殊施設は適正のある者以外は入れない。

入所時・入所後も費用は掛からないが

金を稼げるのは工作員になってからで

入所中に死亡したり、怪我などで退所した場合の

補償は一切されていないが

(この施設において退所することはほとんど死んだことと同意義であった…)

工作員になれれば庶民よりは高給になり

死亡時の補償もかなり優遇されていた。


それを狙い多くの親がここに子どもを入れたいと

思うのだった。


ここに入った子ども達も皆それは分かっていた。

『工作員にならなければ意味がない』

入所者の半分もなれないそれは最低限の目標であった。その中でもほんの一握りの能力を認められた

者だけが最高機密諜報員になれる。

暗殺部隊もその中に含まれた。


工作員になれなかった者は半分は大体死亡し、

残りは下っ端の使いっ走りになる。


内部の情報を出さないために

自由にされることはなく、死ぬまで何らかの

管理下におかれるのだった。


その為、施設内での子ども同士の足の引っ張り合いは相当に熾烈であった。


11567はひ弱でどうせすぐ死ぬか使い物にならなくなると思われていたために、そういった争いからは

遠かった。



最初のうちは…

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