死神は、月を抱いて眠りたいーー死神の育ったトコロ
漂うあまなす
第1話 11567
このお話は、ある封権的で強権的な軍事独裁国家の
諜報組織に属していた最高機密の暗殺者の話です。
その死神と呼ばれる暗殺者がどうやって育った
のか、その一端に触れていきます。
彼女には最初から名前が無かったわけではないが、
誰からも名前を呼ばれることもなく
それを知る者が消え、
結局は本人を含め誰も知ることがなかった。
彼女が初めて認知した他人から呼ばれる自分を表す
言葉は「11567」であった。
この国の工作部隊員を養成するための特殊施設で
便宜上施設に入った順番に番号が付けられるのだが
連番では言い間違い、聞き間違いが多いため
番号の桁が増えるにつれ飛ばし番号もあるため
明確に11567番目に入所したというわけではない。
彼女以外は名前があるので、名前で呼ばれる
こともあるのだが、
彼女には名前が無かったので、常に番号で
呼ばれていた。
優しさというよりは憐れみから
彼女に名前を付けてやろうとする者もいたが
彼女はそれを必要とはしなかった。
彼女にとってそれらのことは、とてつもなくどうでもいいことだったのだ。
彼女は推定5歳くらいの時に、とある街で
警察官に保護された。
ガリガリの小さな女の子が裸足で彷徨って
いたのだ。そこは閑静な住宅街で
富裕層も多く住まう治安の良いその街で
そのような子どもが見つかるのは異常なことで
あったが、誘拐や行方不明者の捜査をいくら
しても何も真相は掴めなかった。
身元不明、身寄り無しで孤児院に預けられた
彼女は言葉を発することをとても苦手としたが、
教えられた事を驚く早さで吸収していった。
彼女はその特性に目を付けられ1年ほど後に
特殊施設に入ることとなった。
その日から彼女は11567となったのであった。
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