あなたと私の、就寝準備~わがままな彼女は寝る前でも平気で部屋に押しかけてくる~
藤間伊織
就寝……の前に
スリッパの音がして部屋のドアが開く。
「はぁ~……。今日も疲れましたねぇ。でも、お風呂も入ったしパジャマに着替えたし、あとは寝るだけです!」
俺が口を開く前に彼女がドカッとベッドに座る。
「うるさい。これから寝るんだけど」
「むぅ、冷たい……。あ、待って、静かにするから部屋から追い出そうとしないで……」
彼女を部屋から押し出すのは諦め、相手をすることにした。こういう時のこいつはテコでも動かないことを残念ながら俺は知っている。諦めると彼女はしめたとばかりにくっついてくる。
「やったぁ」
「それで?」
「はい?」
「ここにいる理由。あなたの部屋、隣でしょ?」
「そんなの決まってるじゃないですか、言わせないでくださいよ……」
「ついに自分の部屋まで忘れたか?」
「冗談、冗談じゃないですか!ちょっといいこと思いついたからお裾分けに来たんですよ。私優しいので。ふふん」
「どこが。合い鍵を渡したのが間違いだった」
深い溜息をつくと、彼女は悪びれる様子もなくにこにこと笑っている。
「…………それに、いくら部屋があるからって毎日別々で寝るのは寂しいじゃないですか」
「?」
「な、何も言ってませんよ。じゃあ、イイモノ用意してくるのでちょっと待っててくださいね」
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