夢はいつか醒めてしまうから
水上下波
1
小学生のとき、初めて出会ったそのときから、梨々花はお姫様だった。
少し茶色がかったふわふわの髪も、感情が出やすい愛らしい表情も、私と違って小さくて華奢な身体も、その全てが私が憧れてやまない絵本の中のプリンセスみたいだと思った。
「梨々花ちゃんとってもかわいいね。まるでお姫様みたい」
思わずそう話しかけた私に、梨々花は本当にうれしそうに笑顔を浮かべながら、
「咲夜ちゃんもカッコいいよ。王子様みたい」
と言った。
その言葉に私は、王子様になることを決めた。彼女の笑顔を守る、王子様になろう。
だって梨々花はお姫様なのだから、いつまでも幸せに笑っていなければいけないのだから。
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