第8話

 玲衣の家に一泊。

 その後は昔に頂戴と玲衣から頼まれてプレゼントした昔着ていた自分の制服を着て高校にまで向かった。


「んー、まだいるかな?」

 

 そして、そんな高校を終えての放課後。

 僕は一人で適当に街をぶらつき、漫画喫茶で適当に時間を潰している間にもう夕方になっていた。


「漫画喫茶に泊まるのもありっちゃあり……何なら新しく一部屋借りるのもありやな……いや、なしか」

 

 所詮、今僕がしているのは現実逃避……ただの逃げだ。

 適当な逃げに金を使うのは流石に無駄だ。確実に。

 僕はそんなことを考えながら街を適当にぶらつく……一先ず今日何処で寝るかよりも今、夕食として何を食べるのかと言う方がはるかに大事だ。


「……和葉」


「……ッ!?」

 

 晩飯を探して街をぶらついていた僕……そんな僕の後ろにいつから居たのか。

 神楽が控えめに、されど全くと言って良いほど控え目ではない力でもって僕の服の裾を引っ張り、名前を呼んでくれる……マジでいつの間にいたの?!こいつ。


「えへへ、一緒」

 

 いつの間にか僕の近くにすり寄っていた神楽は小さく笑みを浮かべながら僕の腕と自身の腕を絡ませ、ぴったりと僕の方に体を寄せてくる。


「……ん」

 

 神楽を跳ねのけて逃げようとも考えていた僕であったが、その考えを途中で撤回して口を開く。


「神楽、金持っている?」


「……あるよ」

 

 僕の言葉に神楽はこくりと頷く。


「ほい、来た。飯行こうぜ、飯。神楽の奢りな?」


「……うん」

 

 僕の言葉に笑顔で頷く神楽……大丈夫か、こいつ。

 まぁ、奢ってくれるなら良いけど。


「何食べたい?僕は寿司」


「私も、寿司」


「よし、じゃあ寿司屋行こうぜ……高いのも良いけどやっぱり回転寿司かな。寿司を食べるなら炙りサーモンチーズは外せない。回らない寿司屋にも炙りサーモンチーズ置いてくれないかな?」


「……それは、ない。でも、炙りサーモンチーズは正義」


「だよねぇー」

 

 僕はお財布と楽しく会話をしながら腹を満たすため、昔にちょっとした話題にあがったス〇ローへと向かうのだった。

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