第56話 女聖魔法使い、やっと目的のものを発見する
「……エンジュさん、さっきの本ってなんだ——」
『オルハちゃんはそんなの気にしなくていいの!』
「そうです! オルハさんはそのまま純粋なままいてください!」
エンジュさんが読んでいた本が気になっていたので聞こうと思ったが、アイリスとシオンに制止とめられる。
「オルハさんもいい年齢なんだしあーいった知識を知ってもいいんじゃないかしら? それに配信やってたらあれより汚らしいコメントがとんでくるわけだし」
「オルハさんはコメント追うことができないのでセーフです!」
『それにいまだにスマホどころかPCだってそんな使えないから問題なし!』
もしかして、遠回しに貶されてる……?
たしかにPCは上手く使えないからレポートとかはいまだに紙で提出しているけど。
「……アイリス、別れ道が見えるけどどっちに進むの?」
私たちが進んでいる先はT字路になっており、道が左右に分かれている。
『えーっと、そこは右だね』
「……わかった」
言われた通り右に曲がるが似たような道が続いていた。
同じ風景のため本当に目的の場所へ行くことができるのか不安になってくる。
「それにしても、変わらないところをずっと歩くってのも気が滅入ってくるわね……」
「ですね、モンスターがでないだけまだマシですけど」
「こんな狭いところでモンスターがでてきたら、何もできないわね」
エンジュさんの言う通り、幅は狭いし周囲は本で埋め尽くされている。
本の無事を気にしなければ何とかなりそうだが……
『そこだけは安心して、ちなみに次の角を曲がった先が目的地だから』
アイリスの言葉に3人揃って安堵の息をつく。
「やっと着くんだぁ……帰ったらそのまま倒れそうな気がする」
「……せめて着替えてからじゃないと」
そんな他愛のない話をしながらアイリスの言う通り進んでいくと、広いフロアが視界に入る。
ずっと続くと思えていた道は大きな本棚が立てかけられ、行き止まりとなっている。
『えっと、目的の魔導書は正面の一番上の真ん中あたりだね』
アイリスから魔導書の場所を聞いてその場で見上げるエンジュさん。
「どうみても届かないんだけど?」
『どこかに踏み台とかない? エルフも基本小さいかあるとは思うんだけど』
周囲を見渡すと、木製の踏み台を見つけエンジュさんに渡すとすぐに目的の本を取ろうとするが……
「ダメね……」
爪先立ちの状態で腕を限界まで伸ばしてみるが、後少しと言うところで止まってしまう。
『オルハちゃんいける?』
「……平気」
エンジュさんが踏み台から降りたのを確認すると、すぐさま踏み台に上がって魔導書を手に取る。
分厚いため辞書ぐらいの重さだと思っていたが、思っていた以上に軽くて拍子抜けしてしまう。
「ありがとう、助かったわ」
本を受け取ったエンジュさんはすぐに本を開こうとするが……
「……開かないんだけど?」
エンジュさんの言葉に私とシオンも一緒に本を見ていく。
「ホントだ、開くところがない」
取る時には気づかなかったが、真四角の箱のようになっていた。
横や下からみても開きそうなところは見当たらない。
『あー……もしかして、プロテクトがかかってるのかも』
その直後インカムからカタカタと叩く音が聞こえてきた。
おそらくキーボードだと思うけど。
『あぁ!!! 何で解除のパスワードを暗号化なんかしてんの! もう誰! こんなめんどいことしたの!』
ブツブツ文句を言っていくアイリス。
だんだんとキーボードを叩く音が大きくなっている気がする。
『なんとかプロテクト解除できたぁ!!! って別のプロテクトかかってるの!?』
「……アイリス、声のトーンさげて、耳が痛い」
そう伝えるも怒りによる興奮状態でまったく彼女の耳にはいることはなかった。
『えっと、このプロテクトの解除方法は……』
突如アイリスの独り言が止まった。
「……どうしたの?」
『どうやらプロテクトの解除にはこの本に封印されたモンスターを倒す必要があるみたい』
「えぇぇぇぇぇ!?」
アイリスの言葉に真っ先に声をあげたのはシオンだった。
長い距離を歩いてきたからか、顔に疲れが出ていた。
「エルフって捻くれたのしかいないの?」
呆れたと言わんばかりにエンジュさんは肩をすくめていた。
『……疲れてるところ申し訳ないけど、これが終わったら見れるようになるから!』
「……わかった」
アイリスにそう返すと魔導書を床に置いてから2人を後ろに下げ、いつでも刀を抜けるように準備する。
『それじゃいくよ!』
インカムから勢いよく叩く音が聞こえてきた。
その直後……
「な、なんですかこれ……!!!」
魔導書から飛び出すようにモンスターがこちらへと姿を見せていた。
『……ホントだれよ、このプロテクトかけたの! ってかキマイラなんてどこからもってきたの!』
インカムからアイリスが叫び出していた。
私は黙ったまま、月華の柄を握りモンスターへの元へと駆けていった。
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