第54話 流星光底メンバー、謎のダンジョンを進む
「それで、ドラゴンスレイヤーに関する魔導書はどこにあるのらしら?」
エンジュさんが私の顔をじっと見ていた。
「それが他の魔導書みたいに貸し出ししてなくて……」
「貸し出し……?」
管理局の兄の部屋であったり、以前シオちゃんに渡した本は私や兄の私物なのだが、件のドラゴンスレイヤーの本に関しては貸し出しは一切、許されていない。
誰にでも読ませていい魔導書ではないからだろう。
手違いで魔力の低い人間の手に渡りでもしたら、管理側の問題となってしまう。
「魔導書を管理している図書館があるんだよ。 もちろん誰でも見れるってわけじゃないんだけどね」
「……ってことはもちろん許可とかとっているのよね?」
「もちろん、局長のサイン入りだから安心して!」
自信たっぷりに答えるもなんか信用してないと言った感じの痛い視線を感じる。
「……それで、その図書館はどこにあるの?」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ぐぎゃああああああああああ!」
シオンのウインドカッターを受けたゴブリンは断末魔の声をあげながら切り刻まれていった。
「……そこっ!」
ゴブリンの後ろにいたリザードマンが大きく飛び上がりながら大きく剣を振り落としてきたが、振り切る前に月華を振り上げると、声をあげることなくリザードマンの体は左右に裂けていった。
『オルハちゃんが倒したので最後だよ!』
刀を鞘に収めているとインカムからアイリスの声が響き渡っていた。
「……モンスターはいないんじゃないの?」
「そのはずなんだけどね……500年ぐらい誰も行ってないから棲みついちゃったのかもね」
アイリスは軽い口調で返していた。
「……刀もってこなかったらどうするつもりだったのよ」
ため息混じりに返すとアイリスは「うぅ……」と情けない声をあげていた。
私たちがいるのは薄暗いダンジョンの中。
アイリスの話の後、バルム局長に連絡を入れると移動魔法を使って送ってくれたのはいいが、着いたのはこのダンジョンだった。
管理局しか知らないダンジョンのようで、私たち以外の探索者は知らない場所だと話していた。
『局長には日頃のうっぷんを込めて文句言っておくから!』
「それなら私のうっぷんも言っておいてほしいわね」
アイリスの話を聞いていたエンジュさんが悪い笑みを浮かべながら横から話しかけていた。
「……モンスターが来る前に行きますよ」
シオンとエンジュさんに声をかけると奥へと進んでいった。
アイリスの話では他のダンジョンとは違って一階層しかないが、それなりの距離があるようだ。
現れるモンスターも下北沢ダンジョンと比べれば弱いので、よほどのことがなければ苦戦することはないだろう。
……あるとしたら、歩き疲れるぐらいか。
「はぁ……はぁ……! 何で図書館行くのにこんなにあるくんですかー!」
特にシオンが……。
それから1時間近くモンスターを倒しながらダンジョン内を歩き続けて目的地らしき大きな扉の前に辿り着いた。
「や、やっとついたあぁぁぁぁぁ……」
シオンは今にも倒れそうになりながらもゆっくりと近づくとそのまま私の体にもたれかかった。
ここに来るまでに何度も魔法を使っていたから体力も限界きているのかもしれない。
「ぐへへ〜、オルハさんの体気持ちいい〜」
先ほどまで絶望的な顔をしていたが、一瞬にして穏やかな表情へと変わっていくシオン。
「今すぐ配信画面に載せて、リスナーの反応を見てみたいわね」
『そういえば最近、オルシオてぇてぇやってないからリスナーも飢えてそうだしね……って最初にも言ったけどここでは配信禁止だからね! そもそもここでは電波届かないけど』
アイリスとエンジュさんで話しているが、理解できなかった。
「……それよりもアイリス、ここからどうすればいいの?」
楽しそうにエンジュさんと話すアイリスに声をかけると、「忘れてた!」と大声をあげていた。
『えっと、ちょっと待ってて! こちらで開けるから』
アイリスがそう答えると、すぐにカタカタとキーボードを叩く音が聞こえてきた。
それと同時に、「あいでぃーは」とか「ぱすきーどこだっけ!?」とかブツブツと呟く声も聞こえていた。
しばらくすると、目の前の大きな扉がギギギと大きな音を立ててゆっくりと開いていった。
「何これ……」
奥を見て私は言葉が出なくなっていた。その横ではエンジュさんが驚きの声をあげていた。
目の前には天井まで本が立てかけられていた。
『驚いた?』
私たちの驚きにお構いなくインカムからアイリスの少し嬉しそうな声が聞こえてきた。
「……驚いたけど、そもそもここは何なの?」
『わかりやすく言うならエルフたち専用の図書館ってところかな。 最近では内容をデータ化してスマホやPCで見ることも多いけど』
「データ化してるならここに来る必要あったの?」
『データ化してるのは一部だけだね。 残念ながら今回の目的のものはまだされてない』
アイリスの返答にエンジュさんは大きくため息をついていた。
「で、この膨大な量の本の中からどうやってドラゴンスレイヤーの魔導書を見つけるの? まさかとは思うけど虱潰しに探せなんて言わないわよね?」
『やりたいなら構わないけど? 見つかるのが先か、3人の寿命が尽きるか……だけど』
アイリスの言葉に絶句する私たちへアイリスは「冗談」だと告げるが、言ってるのが長寿の種族のため冗談には聞こえなかった。
『事前にある場所は調べてるから安心して! それじゃまずはまっすぐ進んで——』
そう言ってアイリスは声高らかに誘導していったのだった。
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