創作の国
ユダカソ
創作の国
「素晴らしい創作の作者は死んでるに限るよ」
それがこの国の社会通念であった。
読者にとっては愛すべき創作の作者の存在は邪魔でしかないのだ。
喋っているだけで腹が立つ。
好きなことをしていても煩わしい。
政治についてはもってのほか、何も語るんじゃない。
何もするんじゃない。
私の理想通りでいろ。
私からの感想は—―よかろうと悪かろうと—―全て受け取れ。
理想的なリアクションをしろ・・・
私からの評価があなたの価値を左右するのだから・・・
それがこの国の民衆と言うものであった。
最終的に、「名作の作者は死すべき」という結論に落ち着いたのだ。
そういうわけでこの国では「名作の作者は死刑となる」という法ができた。
誰かが「これが好きだ」と言い・・・・その数が1000人を超えた時点で死すべき存在となる。
そして作者が死んでから新たな望みが生まれる。
「続編を書いてから死んでくれればよかったのに。」
だからこの国では誰も創作したがらない・・・・かと思いきやそうでもなく・・・・。
「死んでもいいから名作を残したい」という作者が多いのであった。
創作者と言うものはかくも愚かなことをするものか。
だから「創作にふける」とは「自死を選ぶ」と同義であった。
人々は「創作をするな」とけん制し合い、しかし「名作を味わいたい」という矛盾した思いを抱いていた。
名作を作るには何作も生み出していく長期的なスパンが必要とされるが・・・人々は作者の死を望むので、名作は生まれる前に殺される。
それがこの国であった。
名作のために作者は殺され、民衆は「作者が死んでくれてよかった」「でも、もっと名作を生めばいいのに。名作を生む前に死ぬなんて馬鹿だね」と笑うのであった。
創作の国 ユダカソ @morudero
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