第1句 咲き誇る 私を手折りし あなた
16歳の春。
私は高校二年生になった。
桜の木の下で。
花吹雪に見とれていたら。
君が通り過ぎていった。
サッカー部の、いつものランニング。
前から三番目で声を出している。
直ぐに見つけられたのは。
一年間。
ずっと君を想い続けていたから。
そう。
去年の今頃。
君の優しい眼差しが。
私の心を手折るように。
虜に、したから。
風が舞う。
私のスカートを翻して。
君が去った残像を。
一瞬、隠していた。
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