転生双子によるテンプレぶっ壊し大作戦
睦月
【プロローグ】テンプレな天界事情
【テンプレその一】死因は神様のミス
私と■■は、河川敷を歩いていた。
「日差しが強すぎて暑い」
「確かに暑い。あー、今すぐ川に飛び込みたい」
「川に飛び込んでも、こんなに暑い日だったら冷たい水じゃなくてぬるま湯じゃね?」
「それもそっか」
本日の天気は快晴。まだ夏ではないというのに、とてつもない暑さに見舞われていた。
と、そんなとき。私達に目掛けて雷が落ちてきた。どう考えても回避不能で。そのまま私達は───
「非常に申し訳ございませんでした!」
気が付くと私達は白い空間にいた。そして目の前には土下座をする女性。
「私の不手際あなたたちを本来の予定より早く死なせてしまいました。お詫びとして、今世の記憶を保持したまま転生する権利を与えます」
私と■■は互いの顔を見合わせた。
「「テンプレかよ」」
「そうですね。巷で噂の異世界転生というやつです」
マジでテンプレじゃん。
「ちなみにお二人は本来、私が落雷させた三分後に死ぬ予定でした。ちなみに死因は溺死です」
「「三分とか誤差じゃん」」
そんな誤差の不手際なのに、お詫びしてくれるのか。何か申し訳ない。というか、溺死って。本来だったらあのぬるま湯に飛び込んで死んでたのか。
「女神様らしき人に出会って転生するって、いかにもラノベの冒頭っぽいよな」
「そうだね。あと、神の不手際に見せかけて実は主人公が異世界に必要な人材だからわざと死なせたパターンもあるよね」
「まあどちらにしろ」
「「テンプレ通りなんてつまらない」」
すでに沢山の人が通っているような道なんてなぞりたくない。そういう点で私と■■は似ている。
「こんな場面での主人公の行動パターンといえば?」
「妙に物分りよくてすぐに転生する」
「それか何で俺が死ななきゃいけないんだ!って神を問い詰めるパターンもあるよな」
「じゃあ私達にとっての最適解は?」
「「神を問い詰めず、かつここに長期間居座る」」
何かと理由をつけてここに長居しよ。
「お二人が今から転生するのは、私が管理しているもう一つの世界。剣と魔法のファンタジーな場所で……って、聞いてます?」
一ミリも聞いてなかったけど、どうせテンプレな内容話してたんでしょ。
「よし■■、今後の方針決めよ」
「まず、俺TUEEEEと俺TUREEEEは回避な」
「私達の謎テンションなら俺TUREEEEにはならないと思う」
「あとはチートや無双をしなければ良い」
「私の話も少しは聞いてくださいよ」
「「推定女神様はちょっと黙ってて」」
「私の扱い雑すぎません?あと、推定じゃなくて確定女神ですよ私は」
大方の方針は決まった。あとはここに長居する方法を考えれば良い。
「勝手に長居しようとしないでくれます?私にも都合があるんですけど」
こやつ……もしや心の声が……!?
「はいはい人の心の声を読むくらいできますよ。私、女神なので」
お約束展開か。神様キャラってだいたい心の声読んでくるよね。普通にプライバシーの侵害だと思う。そこまでして乙女の胸の内が知りたいのか。もしかして変態?
「私は変態じゃないです!」
また心の声読んでる。やっぱり変態なのか。そうなのか。
「やめてやれ。変態呼びは推定女神様が可哀想だろ」
「ここに長居するなら推定女神様とも仲良くしないといけないもんね。変態呼びはやめるよ」
「それに今時こんなにイジリがいのある人いないからな。貴重な存在だから丁重に扱おうな」
「あなたたち二人とも失礼すぎません!?」
「「いやー、それほどでも、照れるなー」」
「褒めてませんからね!?むしろ貶してるのですけど」
この人、というかこの女神様、リアクションいいな。ボケたらすぐ突っ込んでくれる。
「それよりもさっさと転生してください!ほら!あの扉を抜ければ来世ですよ」
「「あの扉を抜けなければここにいられるんだね!!」」
「曲解しないでくれます?」
こうして私達三人の生活がスタートしたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます