第6話 元貴族の冒険者、依頼主の面談を受ける

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「ここが、児童保護施設・・・」

 立派な門の先には、

 四角い大きな家が建っていた。

 外壁は白く塗られ、近代的な印象をクリスに与えた。


「こんにちは!」

 門の前で警備らしき男に依頼の受注書を見せると、

 彼はクリスと巨大な白狼のユキを見定めるようにしばらく見つめていたが、


「こちらへ」

 と、そのまま中に案内され、

 そろって応接室らしい部屋へ通された。


 すぐに責任者らしき人物がやってくる。


 垢ぬけた服装で、

 頭のまわりそうな顔をした中年男性だ。


「依頼を引き受けてくれてありがとうございます。

 ゼニー商会よりこの施設の運営全般を任されております、

 責任者のマルコです」


「はじめまして。

 僕はEランク冒険者のクリス、

 こっちは相棒のユキです」

 クリスがそう言うと、

 ユキも「よろしく」とでも言うように、

 マルコに向かってコクコクと軽く頭をゆすって見せる。


「ほう、これは利口な・・・。

 子供たちの良い遊び相手になってくれそうですな」

 マルコは感心したようにユキを見て言った。


「どうでしょう、クリスさん?

 金貨20枚でこの従魔を買い取りたいと言ったら・・・」


「申し訳ありませんが・・・」


「では、30枚では?」


「ごめんなさい。

 ユキは大事な友達なので・・・」


「・・・そうですか、

 それは残念」

 そこでマルコも引き下がってくれた。


 ダメ元で言ったのか。

 いずれにしても、

 険悪な雰囲気にならなくてクリスは内心ほっとした。


「いや失礼。

 お仕事の話に移りましょう。

 にお願いしたいのは、

 主に自由時間の子供たちの遊び相手をしながらの彼らの安全管理、

 彼らが学習中の時間は外で敷地の警備と清掃を・・・」


 ・・・そうやって仕事内容をざっと説明されたあと、

 マルコは施設の職員らしき女性を呼んだ。


 切れ長の眼に眼鏡をかけた、

 理知的な印象の女性だ。


「エミリです。

 よろしくお願いします」


「はじめまして、クリスです。

 よろしくお願いします」


 挨拶を交わした後マルコが説明する。

「彼女が案内しますので、

 まずは施設全体をご見学ください」


「はい、失礼します」

 そのままクリスはユキと共に、

 エミリの後に続いて施設の屋内、屋外と見学していった。


 途中、何人かの職員や子供たちとすれ違った。


 職員たちの反応は皆、

 ユキを見て驚いた表情を見せたあと、

 女性職員エミリが一緒なのを見て納得したように通り過ぎる、

 といった感じだった。


 それに対し、

 子供たちは好奇心を隠そうともせず、


「うわっ、大きい!」


「真っ白できれい~・・・!」


「ねえねえ触ってもいい?

 あ、じゃなくて、いいですか?」


「わあ~、モフモフ~!」


「乗りたい乗りたい!」


 と、大騒ぎだった。


 既にユキは子供たちの人気者だった。


 そして、そのユキのおかげで、

 相棒であるクリスもそのまま受け入れられた。


「へえ~、お兄ちゃん冒険者なの?

 あ、じゃなくて、なんですか?」


「これからここで働くんですか?」


「じゃあ、

 わたし達がここの事いろいろ教えてあげるね!」


「よろしくね、お兄ちゃん!」



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 その後、

 再びクリス達はマルコと応接室で面談していた。


 もう夕方近い。


「いかがでしたか?

 施設の全体像は把握していただけましたか?」


「はい、おかげ様で」

 クリスはそう答えると、

 ・・・不安げにマルコを見る。


「あの・・・それで、

 僕たちは働かせてもらえるのでしょうか」

 クリスのその言葉に、

 マルコはきょとんとした後すぐに、


「いやいや、

 不採用の方に施設を回らせたりはしませんよ。

 これからよろしくお願いしますね」

 と、泣きそうな子供を安心させるような優し気な口調で言った。


「・・・!

 ありがとうございます!」

 クリスは心から礼を言った。


 と、同時に、

 ぐう~っ・・・、と壮大に腹がなる。


 残っていた干し肉はほとんどユキに譲り、

 クリス自身は朝からロクに食べていなかったのだ。


 その音に、

 マルコは決して笑ったりせず、

 エミリに向かって言った。


「エミリ、

 ちょっと早いがクリスさん達を食堂に案内を」


「はい」


「え?」

 クリスは驚いた。


「でもあの・・・、

 僕たちまだ何も仕事をしていないのに・・・」


「お仕事は明日の朝からお願いします。

 食事のあとお部屋へ案内しますので、

 しっかりとお休みになって疲れをとってください」

 マルコはそう言うと、


「では、」

 と、クリスとユキを交互に見て、


「これからよろしく、

 クリス。ユキ」

 そう言って手を差し出してきた。


 クリスはその手をしっかりと両手で握り、

「よろしくお願いします、マルコ!」

 と頭を下げた。


【つづく】


 _______________


 読んで頂き本当にありがとうございます!

 そして・・・、


『何かコメントをいただけませんか!?』


 下にございますコメント欄にて、

 皆さまの閃いたコメントをお贈りください・・・!

 もう一文字だけでも良いのです!

『A』とか、『B』とか、『女』とか・・・。


 その一文字からいろいろ連想して展開を考えますので。


 この作品は皆さまのコメントだけが頼りです!


 それなくしてこの物語は成り立たないのです!


 どうかよろしくお願い申し上げます・・・!


 ・・・と言うようなお願いを先日までしておりました。


 常に最新話で新たな募集をしておりますので、

 どうぞよろしくお願いします!















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