あなたの戦闘力は53万です〜田舎の山奥でひっそり暮らしていた武闘家の少年は、魔王軍を相手に無双するそうです〜
戯 一樹
プロローグ
「なんと! それはまことであるか!」
謁見の間……俗に王座の間とも言われる場所での事だった。
豪奢に設えた王座に、これまた絢爛豪華な装いの王が、半分身を乗り出しながら眼前にかしずく魔導師に訊ねた。
対する魔導師は、その年若い見た目とは裏腹に、厳粛な声音で返答する。
「はい。間違いありません。ここから遠方の……国境の境にある山にて、とてつもなく強い力を感知しました。観測機で確認した限り、おそらくは魔王に匹敵する力があるのではないかと」
「信じられぬ……それほどの者が我が国に健在していたとは……」
「多数の魔導師の協力の元、観測機の精度を試行錯誤しながら改良いたしましたので、より遠方にいる強者を感知できるようになったおかげかと」
「うむ。我が国のため……いや、この世界の平和のためによくぞ尽力してくれた。そなたの功績はいずれ国中に知れ渡る事であろう」
「もったいなきお言葉。しかしこれも、王や仲間の魔導師はもちろん、観測機の改良に手を貸してくださった皆様の力あってこそ」
「そうか。して、その者に使者は」
「まだ手配しておりません。なにぶん遠方の……しかも山深い場所にいるようなので、できれば道中で迷わぬよう、小型の観測機を操作できる魔導師が適任ではないかと」
「ふむ。しかしそうなると、相当体力のある魔導師でないと山奥までは辿り着けないのではないか?」
「仰る通りでございます。そのため、転移装置で行けるギリギリのラインを狙って向かう予定であります」
「転移装置……だがあれは、かなりの熟練者でないと扱えぬものでは?」
「はい。なので──」
そこまで言って、魔導師はおもむろに立ち上がったあと、胸の前で敬礼しながら声高にこう続けた。
「そのお役目、このルルアめにお任せください!」
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