第2話 美女の令嬢に転生…これって勝ち組じゃね?
「はい、イレーヌご飯ですよ。アーンして…」
「あばぁー」(うん?レーヌ…?)
「本当にイレーヌはかわいいな。」
「ええ、あなた」
(イレーヌって誰?私は、渡川美咲…ハッ!?)
その時、私は前世の記憶を思い出した。
私は、乙女ゲーの好きな暗く地味なOLだった。
(あんな人生つんだみたいな地味なOLだったこの私がこんな可愛く転生なんて…生まれてきてよかった!)
「この子は将来、アンフォード家を支える人間になっていくんですから、大切に育てないと…。」
「そうだな。」
(なんか、家も裕福そうだし…これは人生勝ち組決定…って、アンフォードってどこかで聞いたような…)
「あばぶー」
「なんでちゅか、イレーヌ…パパに抱っこされたいんでちゅか?」
(思い出した‼️イレーヌそれは前世の私がかつてプレーしていた乙女ゲームラブライフで主人公の邪魔ばかりをして死刑となった令嬢の名前…ってことは私はこのままだと…死刑?)
「どうしたんだ…いきなり暴れて…」
「オムツの交換でしょうか?」
(死刑だけは嫌だー!)
「オムツ変えましょうか…」
(違うの死刑をなんとか…回避しなきゃ)
それから私は5年間必死になって考えた。考えて、考えてどうすれば死刑を免れるかそればかりをいつも…。そして、ひとつの結論に至った。
(はっ、私が領主になって王子以外の婿養子を迎えれば…、)
そう、私は王子との婚約を回避するため自分の領地の領主になると誓った。
(勉強しなきゃ…。)
それからだった。私は、城の図書館にこもり領地のことを調べに調べた。
「なるほど、私の領地は南は海で、北は山にかこまれている日本でいう鎌倉のような地形だってこと…。」
(じゃあ、海だけじゃなくて山のさちもたくさんあるのね、これは特産品もたくさん…。)
「イレーヌ、こんなとこにいたのか…。リディアが探していたぞ!」
「げ、お母様が…」
「げ、って何か怒られるようなことをしたのか?」
「違うけど、お母様は最近マナーやバイオリンの練習をしようと言ってきて…。」
(今は領地経営のために、できるだけ領地の情報を集めたいのに…。)
「イレーヌ…リディアはお前の将来をあんじてのことだ…。」
「うん、わかっているわ、お父様」
「そうか…。」
そんなことを話しているうちにヒールのかつかつという音が段々と近づいてくるのがわかった。
(うわ、この足音きっとお母様だ…。)
「イレーヌ、イレーヌ」
「探しているから早く行ってあげなさい。」
「嫌よ、お母様に見つかったらまたお説教…。」
そんな話をしていると、話し声が聞こえたのか母がドアを開けて入ってきた。
「やっと見つけた!」
「お、お、お母様本日もご機嫌麗しゅうございます。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「イレーヌ、私は昨日なんと言いましたか?」と母の冷たい視線が痛い。
「今日のスープは少し味が濃いと…」と私は冗談混じりに言った。
「はぁー、そこではなく、そのあとのことです。」
「は、はい、朝の鐘が鳴り次第バイオリンのレッスンにはいると…」と言った私の顔を見る母の目が段々とつり上がって行く。
「そうよね、でもあなたは一向に来ないし、レッスンの時間からもう半刻過ぎているのですよ…だから」
「だから?」
「はやく、いらっしゃい。」と怒った声で私に言うとヒールの音をさせながらレッスン室に向かった。
「イレーヌこれ以上雷が落ちないように、はやく行きなさい。」
「はぁー、わかりました。お父様」と言いながら、私はしぶしぶお父様と分かれて、レッスン室に向かった。
(こんなレッスンよりも領地や歴史について調べたい。)
「では、始めますね。」とお母様は自分のバイオリンを演奏する。
「今日は、ここまで演奏するように。」
「はい。」
「なんですかその返事は、もっとしゃっきと返事をしなさい。」
「だって…」(やりたくないことだし…。)
「いつもいっているでしょ。あなたはこの家を」
(背負う子だから、教養をつける必要がある)
「…背負う子だから、教養をつける必要がある」
(はいはい、毎度のことですね!)
「イレーヌ、あなたは…。」
「わかりました。お母様。」と言って私はしぶしぶレッスンを始めた。
ぎこちなく音色を奏でるバイオリンはお母様の演奏とは似て非なるものだ。
「もう少し優雅にひきなさい。それでは、我がアンフォードの家名に傷がつきます。」
(お母様がうますぎるんだって…。)
「もう結構、次のレッスンまでにここまでひけるように。」
「わかりました。」(前世でバイオリンなんてひくことなかったから…むずすぎ。)
「イレーヌ、あなたは自室に閉じ籠り本を読むよりもまず貴族として楽器やマナーの稽古をした方が良いと思うのだけれど…。」
「努力致します、お母様。」(でも、前世でやっていないことをいきなりやれと言われても…できないよ。)
「母はその言葉を信じます。」と明らかに疑っているような視線に(絶対嘘でしょ)と思いながらお母様から逃げるように自室へと戻った。
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