第2話

遠い昔

かの地を治めた領主がいた

この領主…

かの地に暮らす民に重税を課して

御家人の家族…娘があれば、城に奉公させた

領主が気に入れば、傍につかわせていた

次郎右衛門の娘も、領主に仕えていた一人であった

千代という…この娘には許嫁がいた

許嫁は領主の小姓であった

千代を寵愛している領主は

次郎右衛門に…娘を側室にしたい。よって縁談を無きものにせよ…と命じた

次郎右衛門は領主の申し出に首を縦に振らず

領主は濡れ衣をきせ、許嫁の小姓を縄に掛け、次郎右衛門の眼前で

首をはねてしまった

……なんと!殿、正気でござるか?

そなたが悪い…のう、次郎右衛門よ、千代を側室にして良いな

…否、千代は小姓役の新佐の許嫁でございます

そうか…残念じゃ…此奴に縄を打て

次郎右衛門は新佐の首と体を放り込んだ井戸の前に

連れて行かれる

ちょうど良い…新しい刀の試し斬りをいたそう

次郎右衛門は領主により…刀の塵となり、井戸の中に…

哀れ…千代はお家を再興する為に、領主の側室になった

千代はある夜更けに…奈落の底に呑み込まれたという

かの地の領主の子々孫々までも、すべてを貪り食ろうてやる…と言葉を残して



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