浴場

部屋に戻るとすると芯珠に話しかけられた。


「澪未矢様、お部屋にお戻りになられるのですか?」


「ああ、ちょっと勉強しようと思って」


あの学校のレベルなら俺でも勉強しなくてもついていけるな。


「そうですか。お風呂の準備ができ次第またお呼びいたします」


「わかった」


そういえばこのお屋敷の風呂はどんな感じなのだろう?

おそらく大浴場みたいな感じだと思うが。


「それと...」


「ん」


「澪未矢様、今日はなぜ釖竜冥刃と一緒にお帰りになられたのですか?」


芯珠が相手を呼び捨てするのは釖竜さんだけだろう。

おそらくこの2人過去になんかあったな?


「ちょ、ちょっと外が思った以上に暗くて怖かったというか...」


果たしてこんなブラフが芯珠に通用するのだろうか。


「なるほど、そういうことですか。ですがそういうことなら私に連絡してくださればすぐお向かいに上がります」


栄那に続いて芯珠と一緒に帰るところを生徒になんか見られたりしたら本当に刺されそうだ。


「あ、ああ悪かった。次からはそうするよ」


「そうしていただけると幸いです」


さ、問題も解決したし早く自室に戻ろ。


「ですかお忘れにならないでください。澪未矢様はこの夜崎家の血筋である方。そのような方とあの釖竜冥刃は決して相いれないということを」


「......」


まさか芯珠がここまで言うとは思わなかった。


「ふーーー」


自室に戻ってきたことで一息つく。


「とりあえず今日の出来事を整理しなくては」


まず今日でこのエロゲのヒロインであろう人物が大体わかった。


まず主人公の許嫁である七桜栄那ななざくらえいな

特徴としては常にお嬢様口調で結構強引な手段をとる。

少しヤンデレ気質。


主人公の妹である夜崎神楽よざきかぐら

特徴としてはかわいいの一言につく。

ギャルゲあるあるな妹の要素をすべて詰め込んだみたい人物。

時々低い声で何かよからぬことを言っている気がする。


主人公のお屋敷のメイドである芯珠しんじゅ

特徴としてはクール系お姉さん。何となく運動神経よさそう。

栄那のことをあまりよく思っていない。釖竜さんに関しては完全に敵対している。


主人公の学校の生徒会長である赤条寺紅愛せきじょうじくれあ

一年生で生徒会長ということもありおそらく優等生。

少し饒舌で見た目も気が強そうな女性と思われる。


学校の非常勤教師で公民を担当している釖竜冥刃とうりゅうくらは

まだまだ謎が多いがとりあえずすべてが芯珠に似ている。

ただもし何かしらの対決で芯珠と戦うことになったら釖竜さんが一歩上に行きそう。


とりあえずここまでのヒロインたちの特徴を観察してみて一言。


「ヤンデレ多くね?」


確かにハッシュタグにヤンデレと書いてあったことから大体予想で来ていたがそれにしても多い。


「しかもまだヤンデレ判定になってないキャラも豹変したりする可能性もあるからな」


豹変系ヤンデレはギャルゲおすすめだ。


「これに加えて逆NTR要素もあるのが鬼畜だよな」


そうなのである。

このゲームは逆NTRが売りだ。

つまりメインは主人公が逆NTRされるのを見て興奮しましょうというのがスタンスなのである。


「もし俺が栄那から誰かに寝取られなんかしたら絶対badendになるよな」


というのも栄那の性格から見て俺が寝取られなんかしたら暴走するに決まっている。

多分全権力を持って俺と寝取ったヒロインを消しにかかるだろう。


「もしかしてこれって逆NTRされるのを回避するのが目的なのか」


それならなかなか難易度が高い。

というか選択肢が全くでないのも気になる。


オープンワールドになると選択肢がなくてもゲームが成立するのか...?


これらを踏まえて明日からの行動を考えていると


「澪未矢様、お風呂の準備ができました」


ドア越しから芯珠の声が聞こえた。


「もうそんな時間なのか」


ドアを開けると芯珠がタオルを抱えてスタンバイしていた。

まさか風呂までついてくるのか。


俺が戸惑っていると芯珠が首を傾げてきた。


「澪未矢様、どうかいたしましたか?」


「い、いや何でもないよ」


シンプルに風呂の位置が分からない。

でも言えない。


「それでは澪矢様、こちらです」


まさか風呂まで案内してもらえるとは。

普段からどれだけ箱入り息子なんだよこの主人公は。


芯珠に案内されると予想通りそこら辺の銭湯よりも大きい浴場が見えてきた。


「それでは私はここで澪未矢様がお上がりになるのをお待ちしているのでごゆっくり」


そこまでする?

というか外でメイドが待っていると思うとなかなか安心してお湯につかれない。


浴場の中は少なくても50人ぐらいが入る作りになっていた。


だが意外と和風っぽい風景になっていた。


「まずは髪を洗うんだったな」


前にも言ったかもしれないが俺は家賃5万のワンルームに住んでいて、そこはシャワールームだけだった。


「座りながら髪を洗うのってこんなに疲れが取れるんだな」


座りながら髪を洗えることをかみしめながらこのひと時を過ごすことにする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る