むにって守って!〜人質婚ですが、一匹狼の王子に愛され幸せなのです。お礼に私のむにむにで旦那様の笑顔を守るのです!〜

冥沈導

第1章 人質、上等なのです!

第1話 二回言うのは失礼なのです!

「マル……、すまんのぅ」


「仕方ないのです、お父様」


「私たちが素直になれば、こんなことにはならなかったのに……」


「変なとこ、意地っぱり。それは確かに小人族ホビトンの欠点ですが、私は好きなのです」


「でも、お前が何も行くことは……」


「いいのです、お父様。私、ガツンと人間族ヒュームに言ってやるのです!」



 ⌘⌘⌘



 こうして、てくてくと人間族ヒュームの国へ向かい、森の中を歩いているのです。


 これには、訳があるのです。


 私たち小人族ホビトンは、魔法が使え、膨大な知識が頭に入っているのです。


 だけど、小さい故に、どうしても力が弱いのです。魔法だけでは栄養ある食物が育たず、農作が上手くいかないのです。

 農作が得意な巨人族ジガンテに頼むのは、やっぱり、ちょっぴり、大きすぎて怖く、国も遠いからやめたのです。


 結果、私たち小人族ホビトン巨人族ジガンテの中間にある国、人間族ヒュームに頼むことにしたのです。

 人間族ヒュームは知能も力も高いのです。だから、すんなり引き受けると思っていたら、交渉から戻ってきたおさが、



『……等価交換だそうじゃ。我々も人を寄越せということだ』



 と、言った時は、腹が立ったのです!


 人には人を!? 道理が通っているようで通っていないのです!


 しかも!



『女を寄越せと……、第二王子の嫁にと……』



 何なんだ! なのです!


 ちょっと土地を耕す知恵と人手を貸してくれと、ちゃんと頭を下げたのに! 嫁にとは! 何なんだ! なのです!


 嫁入りとは! 結婚とは! 人生で最も大事なことの一つなのです!

 女性にとっては! 尚更なのです!


 それを! 等価交換! いや、等価じゃない! こちとら人質みたいなものです!


 だって! 人間族ヒュームの第二王子は、王家の外れものだと、嫌われている暴れん坊だと有名なのです!


 そんな所に嫁入り! 人質なのです!


 あー! 思い出したら腹が立ってきたのです!


 絶対に! ガツンと言ってやるのです!


 ガツン。


「そう! ガツンと! ……え?」


 後ろでガツンと音がしたと思ったら、体が宙に浮いたのです。そして、頭にボタボタと何かが垂れてきたのです。恐る恐る見上げると、


「ハッハッハッハッ」


「——キィヤー!」


 逸れ狼ストレーウルフが、私の襟を噛んで持ち上げていたのです! ガツンというのは歯が重なった音だったのです! そして! 頭に垂れていたのは涎だったのです!


 食べられるのです! ここで人生が終わるのです! ぐすん……。


「こんな終わり方ならー! 第二王子に嫁いだ方がマシだったー!」


「第二王子は逸れ狼ストレーウルフ以下ってか、笑えるな」


「みゅ?」


 上から声がしたのです。声が聞こえた方を見上げると、葉を散らしながら木の上から人間族ヒュームが下りてきたのです。


 下りてきた人間族ヒュームは、黒いワイシャツに、色黒で銀の短髪、赤い瞳と、見た目が怖いのです!


 絶対にこの人も私を食べるのです! 私なんか丸飲みなのです!


 だけど、ここでジタバタしたらみっともないのです! 小人族ホビトンの恥なのです! だから!


「一思いに食べやがればいいのです! 人間族ヒューム逸れ狼ストレーウルフ! どちらか早い者勝ちなのです!」


「食べねぇし。つーか、今時のぬいぐるみアニマーレは高度な技術を使ってんだな。人間と対話できるなんてよ」


ぬいぐるみアニマーレじゃないのです! 小人族ホビトンなのです!」


「は?」


 人間族ヒューム逸れ狼ストレーウルフのように、私の後ろ襟を摘んで持ち上げ、目線を合わせたのです!


 そして、私をじっと見ると、怪訝けげんそうな顔をして、


「……は?」


 と、言ったのです!


「——二回言うのは失礼なのです!」


 


⌘⌘⌘⌘


 あとがき。


 ちっちゃ元気マルちゃんです。


 マルちゃん負けるな! など、思ってくれた方いましたら、よければフォローなどポチしてくださると、励みになりますー。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る